ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

2月22日さらば

朝である。8時に目覚める。


目覚めはそんなに悪くはないが、もうすこし寝たい。しかし、9時前には家を出ねばならぬ。仕方ない、目を覚ます動きを始める。


とりあえず、お湯を入れる。

そして、バナナを入れる。

さらに実家より拝借したパンに、ハムとチーズを挟み、むしゃむしゃ。

オレンジジュースと、スクランブルエッグが欲しくなるぜ。

 


本日は、長崎にてライブである。

ので、炭水化物を多めにとっておく。

多めに拝借したパンをもう一つ、腹に入れる。

これで少しでも、体が持てばいいが。

 


時間になったので、出かける。

重い荷物に辟易しながら、扉の鍵を閉める。


幾度となく通った、駅までの徒歩約10分は、ライブの日は少し、違うように見える気がする。


適度に叙情されながら、駅へ向かう。

 


駅、地下道を何百キロで疾走し、街に着く。

バスセンターにて、本日のサポートBa.である、ちぇーんそーくんと落ち合う。

ちぇーんそーくん、これは、本名ではない、芸名みたいなもんである。あしからす。

 


合流して、同じバスに乗る。

福岡→北九州→長崎というルートは、すこし無駄な気もするが、車が北九州にあるため、合流した方が楽なのである。

幸いにして、バスは空いていた。ゆるりと、参る。

 

 

北九州に着き、仲間たちと合流し、車を出す。

いざ、長崎へ参らん。

 


普段、車内では私は、ひたすらに、喋る。

単純に、私が楽しいので、ただ、喋る。


しかし最近、歳のせいかライブの日の体力事情がシビアになっている。なので体力を温存するため、なるだけ喋らないように、する。


それでも、ぼちぼち、喋る。

やはし私は、喋るの、好きである。

しかし控えねばならぬ。後半は、眠っていた。

 


さて、3時間ほどのドライブの末、長崎studo Do!というライブハウスに到着。

雨と階段という悪路に気をつけながら、重い機材を搬入し、一息。

 


リハーサルを終え、旧友たちと挨拶を交わし、諸準備を整えて、また一息。

 


階段に、ここ近辺に住む猫、ジャイ子さんが鎮座しておられた。茶色の、猫である。

阿呆のように人に慣れて、小さな声でなぅなぅ言いながらすり寄ってくる。手の匂いを嗅がせる前に、頭を手に擦り付けてくる。そして、膝に乗って、眠る。

可愛いものが好きな私、疲れが、憤死する。

しばし、ジャイ子さんと、戯れる。

 


しかし、ここ長崎studio Do!というライブハウスは、3月で現在の場所から移転になるという。

なので、この建物に来るのは、今日が最後になるだろう。


ジャイ子さんの事情は知らないが、ここの人間は皆ジャイ子さんを認知しているし、ジャイ子さんもここの人間を信頼しているのは間違いない。


いなくなって、なくなってしまった。瓦礫になって更地になったここを見て、ジャイ子さんはどう思うのだろうか。誰かを探して、また小さな声で鳴くのだろうか。撫でるのをやめた時のあの目で、瓦礫を、更地を見るのだろうか。

 


諸行は無常、そして無情である。

ジャイ子さんに幸あれ。と思いながら、少し強めに撫でる。

 

もう会うことも、ないかもしれぬ。

 

 

 

時は過ぎ、ライブハウスは開場し、ライブが始まる。

我々は3番手である。

体力の温存作戦も、そこまで功を奏せなかった。適度な疲労感で、ライブに臨む。

 


本番。

なくなってしまうここを、ここで働く気のいい人たちを、ここから見える夜景を、ジャイ子さんを、思いながら、叫び、喉を枯らす。

さらば、studio Do。

 


演奏を終え、ステージから撤退する。

やはし、体力がもたない。

やはし、色々と、考えねばならぬやもしれぬ。

 

 

 

一息をつき、共演者たちを見る。

ライブを見ている間にも、脳内で未達成のトゥードゥーを考えてしまっているのが、嫌になる。

ステージ上の彼らがたまに言う「全部忘れて楽しめ」という言葉を、施行できるのはいつになるのだろうか。それとも、無理なのだろうか。

 


どの共演者も良かったが、大阪、「それでも尚、未来に媚びる」というバンドが、化け物みたいなライブをしていた。

嬉しくもあり、悔しくもあり、少しだけ、同い年の自分が惨めにも覚えた。

 


やらねば、ならぬ。

 


興行は終わった。

物販の活動を適度で打ち切ると、荷物を車に積み、挨拶をする。ジャイ子さんの姿を探してみたが、どこにもいない。最後に一目、お会いしたかった。

 


さらば、studio Do!

さらば、ジャイ子さん。

そして打ち上げへ向かう。

 

 

 

運転のために休むGtソウイチロウ君と、明日の用事のため休むサポートDrみょーちんを車に残し、サポートBaちぇーんそーくんと打ち上げに向かう。

 


打ち上げ。

色々と、話す。

打ち上げは、多少の面倒さはあるが、好きな方である。共演者と、お互い息を抜いて話せる機会は、なかなかない。

色々と、談笑する。

 


ちなみに、私は酒が飲めぬ。

飲まぬ、のではない、飲めぬ。

自制ではない、単に、下戸である。

 


ので、私の「打ち上げ」は料理の具合が非常に大事になってくる。今回は、美味しくはあったが、量は物足りなかった。ガッデムと言っていい。私は、悲しい。

さらば、2500円。

 


打ち上げを終え、車待機組を起こし、出立の準備を整えると、エンジンをかける。

現在、深夜の2時、ドライブは始まる。

 


車内、行きと違い、今度は体力の温存など気にしない私、しゃべる。助手席が喋るのは、義務ね。

怖い話、見た夢の話、見た怖い夢の話など、怖いモノ苦手なソウイチロウ君のために、展開する。喜んでくれたようで、結構、結構。

 


途中、福岡で降りサポートBa.ちぇーんそーくんを下ろす。ありがとう、楽しかったぜ。

また高速へ、我らが北九州へ。

 


サポートDrみょーちんを家まで送り、ソウイチロウ宅へと辿り着いたのが、5時ほど。

そこからブログを書き始めるも、力、尽きる。

全てを忘我して、眠る。

 


ということで、今は23日14:41。昨日22日のブログを、したためているので、ある。

 


そして、投稿す。