2021/7/13
ケレン・ホラー
映画「エルム街の悪夢」を観た。
この、こういうポスター、良いよね。味に溢れている。
言わずと知れた夢追いおじさん、殺人鬼フレディの出るホラー映画である。現代の作品が悪いわけではないが、原典を知っておく事は大事なので、そういう作品を半分は趣味、半分は教養としてたまに観る事にしている。
1984年製作、30年近く前の作品は、さすがに古い。技術や演出に様々な古さが見られるが、やはり名作、とても面白かった。ホラー映画とはある種の「ケレン味」、つまりは邪道なハッタリや奇抜な誤魔化しを楽しむモノだと私は思っているが、その味が存分に活かされている中で、きちんとエンターテイメントをしている。テンポも良いし、実は社会的なテーマを内包しているのに気がついた時は感心した。フレディの過去とこうなった原因。これゆえにこの映画は「エルム街の悪夢」なんですな。
あとホラー映画って、細かい理論や整合性を全部ドブに捨てられるのが、良い。特にこの映画なんかは「夢の中で殺人鬼に追われ、殺されたら現実でも死んでしまう」というトンデモ理論が前提にあるので、何が起こっても「夢です」でぶった斬れるのがたまらん。
別に残酷描写を楽しんでる訳でも、猟奇に追われてる人たちを見て喜んでる訳でもないです。ただホラー映画ってのは、何処かに必ずアイデアがある。怖いモノってのは常識を越えているモノで、常識の外にあるから怖いのです。じゃあどうやって常識を捻じ曲げるのか、そういう所に命を懸けている映画がホラーなのです。
作り手みんなが「良いもの」よりも「凄いもの」を作ろうとしている。そういう姿勢は、私も共感できます。「凄い」という言葉には、もともと「ぞっとするほど恐ろしい」という意味もあるのですよ。
私も「凄いもの」をもっと作っていきたいもんです。いや、ホラー映画を撮る訳ではないのですが。
あと、なんとこれ、ジョニー・デップのデビュー作らしいですね。クレジットで声でちまった。どうりでイケメンがすぎると。