ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

その川のほとりで

 

 

 

 

2021/8/5

 

その川のほとりで

 

恩田陸「蛇行する川のほとり」

f:id:iijitakahiro:20210806000426j:image

もう何回読んだかわからんけれど、今日また読み終えました。何度だって面白く、儚くて、恐ろしく、とても綺麗。これは、良い。

過去に多分3回くらい、ブログで感想書いているので改めては書きませんし、これ見返すのも5回目くらいなんですが、読んでみるといまだに新しい引っ掛かりがあったりするのです。というかひょっとして、今私の頭にある真相と、真の真相が違う可能性すらある。作中で芥川の「藪の中」の話が出てくるのは、たぶんそういう事でしょう。恩田陸はそういうことを、よく、する。

そういう絡まる謎と、渦巻く想いが、夏のぶ厚い幕に包まれて、少年少女が笑っている。そんな小説です。舞台は夏、ジャンルはミステリー、背景は青春と因果、だけどどれでも終わらない、すべてぶれながら重なる群体のような物語。私にとって、ちょっとした奇跡みたいな小説です。

まだ読んでない人は、是非読んでみて欲しいです。できればこの季節、少し暗い部屋で、蝉の声を聞きながらページをめくって頂きたい。とても良い体験になると思います。