ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

あの国とディストーション

 

 

 

 

2022/1/11

あの国とディストーション

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桐島、部活やめるってよ」を見ました。7年ぶりくらいの2回目。巧みな構成力と凄まじいリアリティ。あらゆる高校生の「どうしようもなさ」が余すことなく抉り取られていて、本当に凄い、どいつもこいつも、ちゃんとビョーキしてます。

7年前に見た時も涙腺と手をとって笑ってましたが、今日見た時も涙腺と抱き合って笑っていました。私の思う、普段から言っている「ディストーション」がこの映画には溢れている。ドロドロと濁っていて、生み出した自分にも誰にも意味のわからない感情が、消化も吸収も排泄もできずに全身を侵していくアレ。どうにもできないのがわかっていて、それでも、それをどうにかしようとする人間の姿は、どうしようもなく健気で、儚くて、美しいものです。

 

こういう青春ものを見るたびに、あの世界にはかつて私もいたことを思い出して、その事が信じられなくなります。記憶はもちろんありますが、あれが現実だったかどうかはもう思い出せません。

そして私は、もうあの世界、あの国に入る事はできません。今の私の日常の中で、あの国の住民を見たり、道ですれ違ったりする事は結構ありますが、私はもう二度と、あの国で暮らす事はできないのです。

別に学校生活が、特段楽しかった訳でも、特別好きだった訳でもないのですが、時々、その事で少し、寂しくなる事があります。