2022/5/15
運命じゃない人たち
穏やかな昼から、映画見てました。
「運命じゃない人」という映画です。「アフタースクール」とか「鍵泥棒のメソッド」の内田けんじ監督による2004年の映画です。悶絶するほど面白いです。マジでおすすめ。
内容は、何か大きなスペクタクルがあるわけではなく、役者さんも派手な人はいない、90分くらいで終わるとても小さな映画です。しかしその小さなフィルムの中に、存分にアイデアとユーモアがギュッと詰め込まれており、綺麗にまとまった作品になっています。町の小さなイタリア料理屋、みたいな感じです。内装も少し雑多としていて、料理は美味い。そういうの、とても良い。
作品の規模が小さいと、よりアイデアが大事になります。そのアイデアが優れていると、規模が小さい分、作品全体に広く染み渡って、より深いおかしさが生まれます。こういう作品の、独特の味がね、良いのですよ。演劇にもちょっと似てるかもしれません。
こんくらいの規模の奴、もっと見たいですね。無理に世界を救う必要も、誰かを死なす必要もないのですよ。ちょっとした感情のすれ違いだけで、世の中ってのは面白みに満ちているもんです。
ところでこの内田けんじ監督、もう10年近く作品を作っていません。ツイッターもしてないので近況もわからんです。実に惜しい。才能がありながら、作る事をしなくなる人は、結構います。悲しいもんです。そういう人は、もう私のためだけでいいから作品を作って欲しい。そっちの都合なんかもう知らんですよ。そんなものは運命なんかじゃないです。私はもっと、あなた方の作る作品に会いたいのです。ちくしょうめ。