ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

再現なく

 

 

 

 

 

2022/8/1

再現なく

映画を観ていました。「女王蜂」というものです。そんな名前のバンドの方が今は一般的ですが、関係はないです。しかし女王蜂は格好良い。積極的には聞かないですが、とても良いです。

f:id:iijitakahiro:20220802012421j:image

映画は、いわゆる金田一耕助のヤツですね。どこぞの名家で殺人事件が起き、ひょうひょうとやってきた探偵・金田一耕助が、いやーまいったなぁと頭をボリボリ掻きながら謎を解いていく映画です。このシリーズは大体全部そう。これが様式美ってやつですよ。あぁ素晴らしい。

この時代、昭和後期から平成にかけての日本映画というものは、どれも独特な空気感があって良いですな。味わいが深くいです。見てみるといわゆる「古き良き」だけでなく、悪い部分も結構目につきます。当時の不安定な社会情勢や悪習、人が何人死のうが絶対的な家父長制、それらからにじみ出るジメジメした人間関係なんかが、景色の随所に水溜りのように溜まっています。改めて、昭和ってとんでもねぇ時代ですよな。絶対今の方が生きやすい。

もちろん美意識とか、ファッションも現代と違っていて、映像、音響、今より劣る部分を上げていけばキリはないです。しかしそれでも、あの時代の映画には、凄まじいまでの魅力があるんですよな。映画全体が、強いエネルギーに溢れている気がします。情熱というか、情念というか、色んなものがグチャグチャに込もって、よくわからん色に強く発光しているのを、観ていたら確かに感じるのです。

まぁもちろんね、昔のものが良いのでなく、良いものが残っているってのは間違いないです。別に現代の映画に比べて、なんてつまらん事を言う気はありません。今も昔も良いモノは良いし、悪いモノは悪いです。しかし現代、令和初期において、昭和後期のような映画を撮ることはほぼ不可能でしょう。音響、映像、ファッションなんかを似せることはできても、あの感覚を出すのは相当に難しいはずです。

そういう意味で、残ってる作品っていうのは、とてもありがたいモノなのかもしれません。文字通り有り難く、また頂かせていただきますぜ。