ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

妥協の欲求

2023/1/26

モノは欲しいし、作品は見たい。安心したいし不安は消えて欲しい。技術をつけたいが努力はしたくない。沢山寝たいし美味いもん喰いたい。健康でいたいが運動はしたくない。都合の良いことを皆に知って欲しいが、都合の悪いことは皆に知られたくない。室外機の水漏れみたいに、日々垂れ流す欲求の数々。人の欲っていうのは尽きないもんです。

すべて最高の理想を掲げてしまえば永劫届くことはないので、何かしら妥協をしながら日々を生きています。私なんて社会的には落伍者もいいとこですから、ちゃんと生きてる人に比べれば妥協の度合いは大きいですが、それはこういう生き方を選んだ私の責任なので、きちんと飲み込みます。飲み込みながらも納得はしていません。それとこれとは話が別です。なので文句を言う時は言います。

妥協をしながらでも、人生ってのはまぁ悪くないものです。楽しもうとさえ思えば、楽しむためのモノはそこらじゅうに安くあるので、うまく使えば結構充実はします。私なんて散歩をしながら曲を作るのはタダですからね、日々はなかなか悪くないです。

バンドにおいても妥協はしたくないですが、例えば楽器やエフェクターなんかは金をかけようと思えばキリがないので、実質的には妥協です。レコーディングだって金は際限なくかけられますから、たとえ500万かけてCD作っても相対的には妥協です。もちろん暴論もいいとこなんですが、いくら「全力でやります」と言っても、なんだかんだ我々は妥協をしているのです。

それでも、もしすべて妥協せずにやってしまったら、下手したら人生が終わってしまいます。そうしたらバンドもライブもできなくなるので、それは良くないと前向きな妥協をしているのです。妥協というか、「折り合い」の方が近いかもしれません。色んなことに妥協して、仕方のない折り合いをつけて、それでもバンドは続けたいのです。美味いもん喰らうための金を貯めて、今の私は機材が欲しい。バンドをやりたい欲求も私の中でまた尽きず、相対的に他よりは大きくありますものでね。