ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

散文

2023/2/2

自宅にて、ギターを弾いていました。

見ても見なくても良いユーチューブを垂れ流しながら、調律された鉄線を掻き鳴らしていると、いつのまにか日が暮れて、部屋が暗くなっていました。外ではプーパーと豆腐屋のラッパが聞こえます。そういえばあの豆腐、買ったことないな。美味しいのでしょうか。というか生計は大丈夫なんでしょうか。そんな事を考えながら、また右手をひと掻き。

今日は新曲の練習をしていました。時が流れ、人が変わっても、作られた作品はあまり変わりはしないので、我々は常に新曲を作り続けなければならんのです。その時、その時の感情を、きちんと保管しておかねばならんのです。日々を想い、音を並べ、曲を作る。その点に於いてのみ、私も向井秀徳も、山田亮一だって変わりはしないはずです。

こうして作り続けて、ギターを弾き続けて、私は一体どうなるのでしょうか。「なるようになる」みたいなのは思考停止な気がしてあまり好みはしないのですが、結局はなるようになるしかなさそうです。

もちろんもっと売れたい気持ちもありますが、それが優先順位の一番上に来ることは多分ないでしょう。ただ曲を作って、ライブをして、それがずっと続けばそれなりに良い生涯なのではないでしょうか。もちろん不満や不安は沢山出るでしょうが、そんなもんはどうせ100億持っていても消える事はないので、諦めるしかありません。

まぁ何やっても、それなりの幸せと、それなりの楽しみと、それなりの不幸と、それなりの苦しみを持って続いていくでしょう。苦しみも不幸も嫌ですが、避けられないものもきっとあります。そういうのも全部、いずれはすべて曲になって、またどこかで鳴らすのでしょう。

そういう事を考えていると、すっかり外は暮れ、部屋が真っ暗になっていました。電気をつけて、夜を始めなければいけません。この後やることに、ある程度のダルさを感じながら、また右手をひと掻き。