ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

常に愛を、常にビートを

2023/5/27

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昼食の卵を焼きながら、聞いていたのがハヌマーン「RE DISTORTION」です。マジで何回聞いたかわかりませんし、これからも何回聞くかわかりません。聞き始めは速い曲が少ないのが不満でしたが、途中からマジでどうでもよくなりました。やはりコレは名盤。マジで名盤です。鋭角な歌詞と演奏に、私の人生は深く深く刻まれました。

しかし最近、昔聞いていた曲を聞いている時、昔よりも色々と考えるようになってしまいました。ドラムのフレーズがどうであるとか、曲展開であるとか、演奏のハシりモタりであるとか、歌のピッチ感であるとか、いちいち考えながら聞いてしまいます。まぁ昔気付かなかったものに気づいているのは成長なんですが、昔みたく「ウヒョー!カッケー!」とだけ思いながら聞く事はできなくなってしまいました。 

だいたいどの分野であっても、その深さを知れば知るほど、その深さに際限がないことをリアルタイムで同時に知ることになります。そして知れば知るほど、自分が何も知らない事を知ることになります。それは海の水を掬って、自らの海を作り出そうとするような行為であって、真の意味で際限のないものです。

一般の人に比べれば、比較的その深さを知ってしまった私は、その素晴らしさを知ると同時に、その恐ろしさも同時に知ることになります。そして一度知ってしまったら、知る前には戻れません。昔の頃のように、音楽を楽しめる日はもう来ないのかもしれません。

高校生時分、朝焼けの町をイヤホンと共に駆け巡っていた日々。耳にディストーションが流れた瞬間の高揚。忘れる事ができないあの感覚に、また出会える日は来るのでしょうか。常に愛を、常にビートを感じていれば、また出会えるのでしょうか。