ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

旅路の果てのツアーファイナル

2023/12/15

福岡天神、四次元にてツアーファイナル「ソコノソコマデ」でした。

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ツアーファイナル、と言っても普段とやる事はあまり変わらないのですが、やはりこういう日は特別な思いで迎える事になります。朝起きてからは、家で少し時間もあったのですが、私はずっと浅い呼吸でソワソワ。緊張、と言うほど固まっている訳ではないのですが、どうしても他の事には集中できません。ギターの弦を張り替えて、ジャカジャカ弾いていました。

時間になり外に出ると、外は意味がわからんくらい暖かかったです。12月の風上にも置けません。もう冬も終わったか、今年は随分短かったですな。どうせ夜は寒くなるのを見越して防寒を揃えた私は、電車の中で発汗していました。そして先のことですが、夜もそこまで寒くなることはなかったです。本当に冬、終わってる。

 

会場たる四次元に到着。じきに仲間達も到着して機材を搬入。予報は雨でしたが、この段階では降っていませんでした。ライブの日に雨ってのは基本的に最悪なんですが、搬入の段階で降っていないだけでだいぶ助かります。もちろん、お客さんが来るタイミングと帰るタイミングで降らないのが一番ではあるのですが。

そしてテキパキとリハーサルを終える。勝手知ったる四次元です、最悪リハなし、音出しもなしで本番でも何とかできる気がします。それくらい勝手を知っています。ただ最近、私は少し歌い方を変えているので、その分の調節に難儀しました。最終的には私のギターの音量を下げるしかないと言われたので、調整は諦めました。やはりギターが一番です。歌なんてどうにでもなります。いやどうにかするんです。

リハが終わり、物販を作り、余った時間の中でも私は少しソワソワしていました。責任、という言葉で全身の器官がラッピングされていくような感覚。真空密閉でピッチリと張り付いていきます。

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そして開場、間もなく開演。

1番手はよたれでした。同い年で、長い付き合いのある彼は、最低で最高なライブを披露してくれました。既婚者になっても変わらないこのスタンスは、もはや尊敬を通り越して腹が立ちます。そして相変わらず歌が上手いのでまた腹が立ちます。しかも最近の彼はピンボーカルしかしてないせいか、ギターが若干甘い気がしたのもまた腹が立ちましたね。実際に私は、立った腹を抱えて笑っていたんですが。

2番手は大阪よりハイファイコーヒーズ。ギター1本とドラムとは思えないほどの音圧で四次元を揺らしていました。奇天烈にしてエキセントリック、ヤングマガジン辺りからそのまま飛び出してきたようなライブですが、しかしどう考えても歌も演奏も上手いので、何度観ても圧倒されます。ずっと長いこと同じスタンスでやり続けるその姿。尊敬するほかありません。歌って踊るボーカルのマリ姐さんは、もはやアイドルと言っても差し支えないです。

3番手は熊本のキッチンです。なんだかここ2〜3年、ずっと彼らと絡んでいる気がします。GtVoのケント君とは歳もそこそこ離れているのに、仲良くしてくれて嬉しいですね。しかし同時に、もし我々がしょぼくれたバンドになったら容赦無く切り捨てられるのだろうという緊張感もあります。とても良い関係性ですぜ。

ソリッドに酩酊していくような彼らのライブは、やはり唯一無二。きちんと格式を持って格好良く、隙のなく、魅せつける姿は純粋にロックスターですね。「ロックスター」なんて、安易に言葉に出すのは少し憚られるのですが、私の中ではこの言葉が一番しっくりきます。

そして最後は我々でした。ツアーファイナルやレコ発なんかの企画の日っていうのは、会場もバンドを好きでいてくれる人が集まっているので、ぶっちゃけある程度何をやっても、やらかしても許してもるえるのですよ。

しかしだからこそ、そんな皆さんを前にしているからこそ、普段より何十倍の精度を持ってライブをせねばならんのです。張り詰めたライブをせねばならんのです。責任を持ってライブをせねばならんのです。

張り詰めすぎたか、何度かトラブルありながら、全部巻き込んでライブにしてやりました。何度かお客さんにも助けられました。お陰様で、とても楽しかったです。ありがとうございました。

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写真は宇部の慶太郎くん、イカした刹那を切り取ってくれました。ツイッターにも上げているので、そちらも是非。

 

すべてを終え、放心しての打ち上げでした。我々の愛すべき狂人が打ち上げだけやってきたり、よたれがカパカパ飲みまくり、周りにも飲ませまくり、自身が真っ先に潰れて楽屋で寝るということもあり、楽しく打ち上がっていました。来年の方針や、またライブを良くするための話なんかもしていました。ハイファイのマリ姐さんに「歌が上手くなった」と言われて、私はとても嬉しかったですね。歌、いまだにコンプレックスがあるんですよな。「私、歌が上手いです」なんて、一生かかっても言える気がしません。それが言えるまで、一生かけて頑張りたいと思います。

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赤くてわからんですが、これは牛乳のロックです。うまい。

 

色んな人に「良いお年を」と声をかけ、小雨降りしきる天神を後にしました。とりあえずはひと段落。今年も、あとは年末のライブを残すのみとなりました。色々考えることはありますが、とりあえずは、ひと段落です。

ありがとうございました。