ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

憧れ、その前に

2024/2/8

夕刻、ここ1週間くらいで何度目かわからん小倉へ、ハンドルを駆使して行っていました。自分の事情とはいえ、片道90分ほどの旅路は決して短いモノではありません。孤独なる3号線及び九州道、お供に揃えた音楽や動画も底を尽きつつあります。

しかし用があるなら行かねばなりません。この辺は小倉のバンドマンを名乗るくせに小倉に住んでいない私が全面的に悪いです。何度でも行きますよ。何度でも、エンジンを噴かしていきます。

そんな本日は、小倉のバンドマン新年会でした。会場に来て思ったことは、シンプルに「誘われて良かった」それに尽きます。

宴席にはズラリと並ぶバンドマン、右を見ても左を見てもバンドマン、なんと参加者は60人もいるそうです。小倉にこんなにいたのかバンドマン、なんとなく20人くらいだと思っていました。嬉しいよりも驚愕が勝ちました。古来よりの友人や、まだ顔も知らない若手の方々から、何となくお互い距離を測りかねている先輩まで、みんなすべてバンドマンです。どことなく不安を抱えながら、会合は始まりました。

まぁ始まってしまえば楽しいもんです。私かてそれなりに人見知りの自信はありますが、こんだけバンドをやっていればこういう場の立ち回り方くらいは心得ています。既知の人と笑い合いながら、未知の人とも語り合いながら、味噌で煮られた鶏つみれに舌鼓を打っていました。

昔からの友人とも話しましたが、まだ関係の浅い若いバンドマンとも沢山話せて、とても嬉しかったですね。ありがたい事にそれなりに慕って頂いているようで、恐縮な思いです。我々の歴を省みれば、先輩としては何もできていないに等しく、故郷に錦を飾るどころか自意識みたいなステッカーをペタペタしているだけの存在ですが、それでも曲を聞いたり、ライブを見て頂いているようで、素直に嬉しい限りです。ちやり、ほやりとされていました。

何度か、ノンフィクションは憧れです、ノンフィクションみたいになりたい、とも言ってくれた方がいました。お世辞かもしれませんが、これも嬉しいことです。しかし、憧れるのは別のバンドの、もう少し売れている方々の方が宜しいかと思われます。継続は美徳ですが、実績だって同じくらいの美徳で、しかも利益までついてきます。きちんと戦略を立てて売れて、故郷に錦を飾ってやって下さい。間違っても顔面みたいなステッカーを貼って回らないように。

もちろん、我々は我々のことを最高のバンドだと思っています。しかしながら存在としてはかなりイビツだと言わざるを得ません。それは自身の生活までゴッソリと巻き込んで回転し、人生の様々な要素を取りこぼす結果に繋がっています。我々はそれで納得、というかもはや観念しているのですが、皆がこうなる必要はありません。きちんと、きちんとやりましょう。

 

昨今は小倉、福岡辺りを巻き込んだ若手の勢いは結構あって、またそれぞれの仲も良さそうで、徐々にシーンみたいなものも形成されつつあります。私は嬉しい限りです。

行けるところまで行ってくれ、やれるところまでやってくれ。ただ何となく、軌道に乗れる気配を感じない時、徐々に暗雲が立ち込めた時、実際にはそんな事ないのに、すべてに見放されたような気持ちになった時、その時また、我々に憧れですと言ってくれれば、それは我々も心から受け止める事にします。どうぞ宜しくお願いします。