ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

熱源のゆくえ

2024/2/7

まだまだ冷える如月の夜分、穴ぐらから這い出るように小倉FUSEに集い、ノンフィクションはレコーディングをしておりました。

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今日はコージ君によるドラム録りです。人生が染み込み始めたコージ君のドラムを、もうベテランと化したライブハウススタッフのソウイチロウ君の設置するマイクで、私が押す録音開始ボタンで録音をしていました。場所とマイクをお借りはしたものの、ほとんど自分たちだけでやるレコーディングです。まぁ仕事量的に、私が必要かと言われれば、存在以外は不要なのかもしれませんが。

彼の残酷なまでに真面目なドラムを、1ミリの揺れも余さず確保してきました。データをぶち込んだUSBメモリすら、少し熱を放っている気がします。そのくらいホヤホヤのドラムが獲れました。ライブで使う、FUSEのデカいスピーカーの電源は切っているのに、もうそっちから音が鳴っているような気すらしました。そんな彼は自分の事をまだまだだと思っているようで、努力する人間の残酷さを我々に知らしめてくれます。

本日はとりあえず3曲分、各々3テイクほど録って終了となり、録音自体は2時間もかからずに終わりました。腕前のなせる技です。ずっと思ってるんですが、上手い人ほど録音が短時間なので、スタジオや人のレンタル費用が安くなるの、不思議な感じがしますよな。上手いほど安くなる。私なんて下手なんで、両得のズルさを感じます。

ノンフィクションは今年、フルアルバムをリリースします。なので3曲なんてまだまだ序の口です。しかし完全自主録音ゆえ、少しずつ進めていかないと私の生活が酷死してしまうので、うわべだけでも日常を取り繕える範囲で進めていかねばなりません。まぁ総合の仕事量は変わらないので、劇毒を希釈して飲んでるだけの話ですが、それでも致死するわけにもいかんのです。

何にせよ動き出しました。ドラムがなければ他の録音もできないので、そういう言い訳を駆使してサボってきましたが、もうこの瞬間から言い逃れはできません。始まってしまいました、ならば続けて、完成をさせねばなりません。まだまだ冷える深夜の如月、ポケットのUSBの確かな熱を感じながら、逃げ場のない自宅へと帰還したのでありました。