ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

6月15日 ロミオとジュリエットと疲れたイイジ

朝は10:30、ソウイチロウ君宅で起床。呻き声を上げながら起き上がる。

嘘、目覚めはしたが、起き上がりはしない。ゾンビのごとく母音を発しながら、寝返りを打つこと数回。身体が、とても、重い。

ソウイチロウ君は起きて携帯をいじっている。私は起きたいが、起き上がる気力が沸かない。どうしたものかと、適当なスマホゲームを開き「ガチャを回して良いヤツが出たら起きる」とソウイチロウ君に宣言。見事良いヤツ出てしまったので、2人で笑う。仕方なく、起きる。

本日は、これといった動きはない。しかしやらねばならん仕事はあるし、昼には演劇を観に行く手筈。観念、水を飲み、シャワーを借りる。

シャワーから出たら、伸びすぎた髪を拭きながら、今後の予定を確認する。髪、伸びたなぁ、切らねば。

 

12時前、家を出る。ソウイチロウ君に、目的地までまで送ってもらう。ソウイチロウ君は、そのまま仕事へ向かう。私はコンビニで適当にカロリーを入れると、コーヒーをシメて劇場を目指す。

 

劇場にて、サポートDr.みょーちんと合流、2人でチケットを買って、中に入る。本日、北九州の団体ブルーエゴナクによる「ロミオとジュリエット」を、観劇させて、いただく。

劇場には、巨大と言っていい舞台がある。何となく見渡しながら、席に座る。この、座ってから、公演が始まるまでの時間も、オツなものだよなぁ。薄い緊張が、静かに漂っている。ワクワクするよね。パンフレットや同梱のフライヤーを読みながら、待つ。

 

劇場に来るたびに思うのだけれど、演劇は、すごく「立体」である。考えてみれば、普段我々が見るフィクションは2次元上のモノがほとんどである。漫画や小説だって紙の上のモノだし、テレビやスマホもその実は平面である。

しかし演劇は、どこまでも、立体である。それが面白い。この感覚を忘れては、ならん。

 

公演が始まる。

 

長大なモノローグ作品というのは聞いていた。モノローグとは、演者が誰に向けてでもなく、しいて言うなら観客に向けで、1人で喋る行為である(たぶん)。役者さん達の実力は流石のもので、1人で喋っているだけでも、結構な迫力がある。長い台詞を立て続けに喋り、緊張はどんどんと高まっていく。

1人が終われば、また1人が喋り始める。どんどん、どんどんと緊張が高まって...あぁ、疲れて、しまった。

正直、ロミオとジュリエットの話は軽くしか知らない。それが命取りだったかもしれないが、その場のほとんどの人は知らないだろう。役者は15分ごとくらいに交代しながら、喋る。終わりと思えば、また喋る。続けて喋る、どんどん喋る。軽い台詞は少なく、どれも実が詰まった台詞たちを、雪崩のように、喋る。

250ページくらいの活字本の文章を全部口で言ったくらいの125分間を経て、公演は終わる。終わった頃には、私の魂は抜けかけていた。

エゴナクの作品がわかりづらいのは過去作で知っているが、今回は輪をかけてわかりづらくなっている。香りだけのガムを、2時間噛み続けていたような感覚。顎が、疲れた。

 

私は、こう見えてエンタメ第一主義である。どんな崇高なテーマも、難解なメタファーも、練り込まれた台詞回しも、「まず普通に楽しめるもの」でなければ、あまり受け入れられない。

今回の公演は、凄まじいまでの凄みと、ちょっと異常なほどのエネルギーに溢れたものだったが、間違いなく、エンタメではなかった。

単純に、私とは、合わなかった、という話である。しかしまぁ、この作品は、多分生涯で忘れられはしないだろう。そういう意味では、観てよかったやもしれぬ。

あと、もうちょっと、眠ってから、行くべきだった。脳が、脳が、足りない。

 

終わった後、みょーちんとうどんをすすりながら、感想を言い合うも、ちょいちょい沈黙が入る。彼もまた、エネルギーに当てられていただろう。私ももう、日頃の疲れもあってか、疲弊していた。

 

疲れてはいるが、そのまま島村楽器へ。新しいCDを置いてもらう。書類を書きながら、みょーちんとはこの辺りで別れる。私も書き終えたら、高速バスで福岡へと、戻る。

バス内では、眠る。眠るしか、できぬ。

 

起きたら福岡、降りたら天神、そのまま天神の島村楽器に向かい、こちらにもCDを置いてもらいに行く。

しかし、なんだかまだ、疲れている。いかん、これは、いかん。先にマックに寄り、コーヒーをすすりながら、うなだれる。なんだか、疲れた。

その後、島村楽器に行くも、いつも対応してくれるゴシゴシおじさん(世界のザキ、Gt)がいない。そのまま置いてもらう事もできたが、何となく気が乗らず、そこまで急ぐ用事でもないのと、また書類を書くのがしんどいほど疲れていたので、店を後にする。

 

地下鉄に乗って、我が町へ。しばらく川辺にて野良猫を撫でたのち、事務所の自転車を取り出して、実家へ。

飯を頂き、しばらくは居間で倒れる。風呂を頂き、事務所へと戻り、ブログを書く。

こうして、書いている間も、疲れた脳味噌が悪いモノを分泌しているのが、わかる。

いかん、これは、いかん。眠ら、ねば。しかし、バンド業務ができていない。あぁ。あー。