ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

9月7日 演劇を、しました。

朝は9時30分、ソウイチロウ君宅にて起床。

昨日は会場にて、1時過ぎるまでボードゲーム をやっていた。最近はもう「やろう」と言う前に「やらないんですか?」の聞かれるので、しょーがないなー、なんて言いながらやり、大いに笑っている。

が、帰ってきてすぐ寝てので、それなりには眠った。寝起きは悪くない。ソウイチロウ君と談笑しながら、朝の準備を整える。本日は入り時間が少し遅いので、ゆっくりとする。

 

本日は、演劇2日目。そして演劇、最終日でもある。それを思うたび、胸が少し空く。

シャワーを浴びて、準備を整えたら、車出しをソウイチロウ君に任せて、私は1人、外へ出る。台風が怖かったが、逸れたようで良かった。何ともいえない空模様の中を、駅まで歩く。

そして小倉へ。そう、私は、ボードゲームを買いに行くのである。

「こんなタイミングで?」と思うかもしれない。しかし、私は行くのである。ボードゲームが、足りないのである。今回の会合に向けて、ボードゲームを事務所から5個ほど持ってきて、さらに会場たるアソビカイギにも数個あるのだが、この4日ほどで大体やってしまったのだ。

ぶっちゃけ、やりすぎだと思う、私も。ここまでやるとは思ってなかった。皆、新しい体験を楽しんでいる。しかし、ならば私だって、新しい体験をしたいのだ、なので小倉の、駿河屋というショップに向かう。前々から目をつけていた中古のボードゲームを2つ買って、会場へ向かう。入り時間はギリギリになりそうだが、多少遅れても「ボードゲーム買ってきたよ!」と言えば、奴らは、許す。確信。

12時、入り時間にはギリ間に合った。しかし、誰もいない。私が一番乗りである。マジかよ君たち、遅れてんじゃないよ。俺ボードゲーム買ってきてんだぞ。

 

そのうちに、ソウイチロウ、みょーちん、アキラ君、りんごちゃんと、皆集まる。会場の設営をする。昨日と動きは同じなので、手早く終わる。コンビニに行って、軽い昼食を買う。お金がないので行かないというりんごちゃんのために、皆で貢ぎ物を買っていく。やーい、奢られよ若者。

13時近く、開演まで1時間30分。早くも「ボードゲームか?」という空気になるが、流石に我慢。そう我々、間違いなく、油断をしている。

皆で油断を自覚し合いながら、気を高めていく。衣装に着替えて、小道具の準備をする。

14時、開場である。開場の旨を皆に伝えると、私は案内のために外へ出る。

知り合いに、感謝を告げながら会場へ案内する。20分ほどしたら戻って、控え室(喫煙所)で待機をする。開演前のこの緊張は、バンドも演劇も一緒である。心が煮えて、気泡が割れる。沸騰させぬよう、火を整えていく。

14時30分、開演である。私が前に出て、前説を始める。昼の部は満員御礼である。席数自体多くはないが、とても嬉しい。ありがたい。

前説を終えたら、私はそのまま舞台で待機。3分ほどしたら、みょーちんの合図で、公演が始まる。さぁ、演劇だ。

流れ、流れて、喋り、喋る。昨日ほどの緊張はないが、良しか悪しか、何度かトチる。それでも、流れは止めずに、最後まで、終える。音楽と共に前に出て、一礼をする。拍手を頂く。ありがとう、ございました。しかし少々のミスがあったので、心中は少し、悔しい。

終わったのち、お客さんと話す。なんと私の家族も観に来てくれていた。気恥ずかしいが、バンドよりはわかりやすいのではないかと、安堵はしている。実際、バンドよりも、反応は良いような気がした。

お客さんを見送ったら、皆で反省会。

全体的に、やはり弛緩していた。その自覚はあったし、引き締めもしていたつもりだが、結果は結果である。難しい。バンドのように、テンションで押し切る事ができない。コントロールをせねばならぬ。

 

現在16時40分ほど、次の公演は18時30分であるので、そこまでの時間がある訳ではない。気が緩むか締めるか微妙である。ボードゲームで緩めようかとも思ったが、やめておく。打ち上げにとっておこう。

と思ったらアキラ君はみょーちんを誘い、5分くらいの軽めのゲームをやりに喫煙室へ。後で入ってみたら、ソウイチロウとりんごちゃんも少しやっていた。んもう。

やり終えたら、私は吸わないが、喫煙室で5人、談笑をする。この5人で集まるのも、今日までである。とても、寂しい。

衣装小道具の準備をして、18時。再び開場である。案内のために、私はまた降りる。途中でめちゃくちゃに雨が降ったが、通り雨だったようで今は止んでいる。本当に良かった。

何人かお客さんを送ったら、私も上へ。上がるとアキラ君がいた。控え室代わりにしていた喫煙室に人が集まって来たので、こちらに来たらしい。しばし雑談。そのうちに、りんごちゃんもこちらに来る。どうせなら、ソウイチロウも呼ぶ。みょーちんは既にスタンバイをしている。会場の扉の前で4人、最後の確認をする。

 

これが最後の公演、千秋楽である。これが終われば、この作品が上演される事は、多分もう、ない。この、全く同じメンツで演劇をやれる事も、多分もう、ないだろう。

考えてみれば、解散ライブみたいなもんなんだよなぁ、これ。

 

18時30分。時間である。ソウイチロウ、アキラ君、りんごちゃんと顔を見合わせ、硬く握手をする。りんごちゃんが持ってきたよくわからない円陣で笑いあったら、扉を開け、舞台へ立つ。

そして最後の公演が始まる。

 

 

そして、終わる。前に出て、礼をする。

ありがとう、ございました。拍手を、頂く。

あぁ、これは、楽しかった。楽しかったなぁ。

f:id:iijitakahiro:20190908140222j:image

少し、お客さんと話したのち、撤収作業をする。アソビカイギに作り上げた、我々の部室。ずいぶん散らかって、だいぶリアルになってしまった。何処から片付けたらいいかわからなくて、それがまた部室っぽくて、笑ってしまう。

アキラ君の片付けが早く「ゆっくりでいいよ」と言ったら、「早くボードゲームがしたい」との事、同意である。彼は今回一番、ボードゲームにハマってくれている。しめしめ。

 

撤収が終わったら、舞台は元の空間、アソビカイギの部屋の一角に戻り、我々の部室は、完全に消滅した。

あぁ、終わったんだなぁ。とても、寂しい。

 

さて打ち上げ、ボードゲーム、と行きたい所だが、私は先に清算をする。店長たるバーティさんと、お金のやりとりを、する。とりあえず、目標の人数は達成しており、黒字にて終わる。とても、安心する。かかったお金と期間を考えれば、そこまで派手な黒字ではないが、安心して皆にお気持ちを払えるのが、とても嬉しい。もちろん、そこまで多額は、払えないのだが。

 

私抜きで「コヨーテ」やっていやがった4人と、ゲームが終わり次第、最終清算を始める。形式上正しいかわからないのだけれど、大入袋を皆に配って、改めてお礼を言う。そこで、今回の公演は、全て終了する。

コンビニにて、観に来てくれていた相談役ナカシーに漢気を頂く。ありがたや。戻ったら早速みなボードゲームを始めたが、とりあえず私は一旦飯を食いたいのでパス。同じく飯を食べているりんごちゃんと、今回の所感を話す。

 

りんごちゃんは、今回のメンバー唯一の演劇人という事で、とても頼りになってくれた。練習法すらわからない我々素人3人を、引っ張ってくれていた。本当にありがたい。

練習期間も忙しそうで、深夜のバイトから寝ずに朝練という流れもあったようで、大変迷惑をかけてしまった。

今回の役柄「相沢まゆみ」は、天然と純粋の人間である。この劇の、ある意味では中心人物であり、舞台上、我々素人3人で話している所に割り込んでくる存在だったので、割り込んだ瞬間、グッと場を引き締める必要があった。りんごちゃんの演技力には、助けられた。

大変な役回りではあったが。それでも「楽しかった」と言ってくれたので、私は、とても嬉しい。

 

そのうちにゲームが終わったので、我々も参戦する。「お邪魔者」「インカの黄金」「タイムボム」を、それぞれやる。正体を隠して進める、いわゆる「人狼」形式のゲームは、アキラ君が滅法つよい。めっちゃ喋るし、めっちゃ騙してくる。そしてソウイチロウ君が、めっちゃ騙される。

 

石本アキラ君とは、結構前からの付き合いである。その頃から、細かく気がつく人間である事は知っており、あとは日程の具合、そして見た目の癖の少なさと、それでもきちんとオーラを発している人間であったので、今回、演劇に誘わせてもらった。快諾してくれて、とても嬉しい。

今回の「秋田学」は、邪推と決めつけの人間である。ピッタリと、見事に演じてくれた。いや、別にアキラ君をそういう奴だと思っていた訳ではない。悪しからず。

しかし、ボードゲーム中、味方だと思っていたのに、正体を表して豹変したアキラ君が若干トラウマであるので、全く違うとは言えないかもしれない。

あと、将棋なんかもやっていたので、ボードゲーム好きなんじゃないかとずっと思っていた。そして案の定であった。今回無事に、沼に沈める事ができたと思う。ボードゲーム界隈よ、喜べ。

 

あと、ソウイチロウ君。「甲本総司」という役の彼は、適当と調和の人間である。彼のモデルは名前通り、まんま大学時代のソウイチロウ君である。しかし実際の彼は、劇中の彼ほど適当ではないので、あしからず。

ソウイチロウ君も当然、演劇は初めてであるが、今回、私の企画に、バンドとはあまり関係がないにも関わらず、嫌がらずに参加してくれた。本当に感謝をしている。

練習中も含めて、ミスは多分一番多かったが、それでも最後にはいい立ち回りをしてくれた。終幕の、相沢まゆみと2人になるシーンのソウイチロウ君は、本当に、いい演技をしていたと思う。

 

ついでに言えば、私の役、「中川広高」は、謎の人間である。

今回の各役柄は、私の大学時代のサークルの皆さんを、少しずつモデルにしている。その中の、あまり絡みのなかった先輩達の、よくわからない部分を抽出したのが、今回の中川広高こと、ヒロさんである。普通に話はするし、別に怪しい人間じゃないけど、よくわからない。そんな人、いるよね。

 

さて、場のボードゲームは移り変わり、最終的には残った友人を含めた8人で「クク21」を行う。意味がわからないくらい、盛り上がる。喉が潰れるんじゃないかと思うほど、笑う。

夜は更けに更け、深夜3時で、流石に終了する。後片付けをして、荷物を持ち、挨拶をして、店を出る。そういえば忘れていた、店の扉に貼っていた「コクハク」のチラシも、剥がす。これで完全に、我々のいた痕跡はなくなった。

道路にて、そこで完全に、解散である。ここ1週間くらいは、ほぼ毎日会っていたメンバー。5月の顔合わせの時は誰も何も喋らなくて焦ったが、4ヶ月間、悩み、喋り、笑い合い、今ではもう、家族のような存在になっている。

別れが、惜しい。

バンドがあるアキラ君はともかく、りんごちゃんは今年で就職。しばらく演劇からは離れるようなので、会える機会は少なくなるだろう。

別れが、本当に、惜しい。

 

それでも、別れる。ソウイチロウ君運転の元、戻る。ソウイチロウ君も疲れてはいたが、楽しかったらしい。またしたい、とも言ってくれた。本当に、良かった。

そんなもん、私かて、またしたいさ。

また、やろうぜ。

 

宅に着き、荷物を少し下ろす。私は、明日以降のスケジュールを考えると、この場で車で福岡まで帰るのが、一番良いと判断。

「大丈夫か?」と訝しむソウイチロウ君ももっとも。朝からボードゲーム買いに行って、昼に演劇を2公演して、舞台を片付けて、3時までボードゲームをしていたのだ。無理はない。

しかし、それなりにハイであったし、明日は結構大事な日だし、日曜昼に車を走らせたくはないので、今日のうちに帰っておきたい。エナジードリンクを準備しておく。

ソウイチロウ君と、この後の予定を確かめ合ったら、車を発進させる。

 

流石に高速を使い、車は福岡へ向かう。自分でもわからないが、体力は持っている。ふっしぎ。危なげなく、福岡へと戻る。

1週間ぶりの自宅である。荷物を置いたら、1週間ぶりの我が寝床に飛び込む。シャワーを浴びたかったが、そういえば点検でガスが止まっているのだった。ガッデムが過ぎるぞ。

 

仕方なく、そのまま、眠る。

 

夢のような、時間であった。今でも「あれは夢だよ」と言われれば、一瞬信じてしまいそうなほど、楽しい時間であった。

顔合わせ、練習からは4ヶ月。企画として動き出してから10ヶ月。劇の構想は2年以上少しずつ。以前、ブルーエゴナクの演劇に参加してから、「またやりたい」と思ってからは、5年ほどが経っていた。

演劇が、できたぜ。色んな人の力は借りたが、それでも私の手によって、演劇が、できた。その事が、とても嬉しい。

f:id:iijitakahiro:20190908152336j:image

また、必ず、やります。