ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

12月15日 トーキョーアライバル

朝は6時30分に起床。

あぁ、もう、寝ていない。3時間ほどしか、眠れていない。あらゆる作業を昨日に詰め込んだせいで、寝たのは3時過ぎであった。

しかし、目覚めは悪くない。頭は冴えている。それがまた、ちょっと怖い。

お湯を沸かし、飲む。バナナを食べる。少ししたら、荷物を持って事務所を出る。

本日からノンフィクションは、東京遠征である。飛行機を用いて、関東へと飛ぶ。

 

ギターとエフェクターと一緒に入れたハードケース。ライブの道具と数日分の荷物。全てを背負って、朝の街を行く。まだ明けきっていないそらは、薄赤く叙情している。

駅から電車に乗る。いつもの街を通り過ぎ、空港を目指す。

空港に降りる。来たのは久々である。受付を済ませたら、北九州から来るメンバーを、待つ。死ぬほど眠い。

 

メンバーが到着する。ソウイチロウ君とみょーちんの2人である。サポートベースは、東京現地の人にお願いをしており、向こうで合流する予定である。

彼等は彼等で、6時に車を出しているので、寝不足だろう。ふらふらと合流して、手荷物のチェックを通す。通ったら、搭乗口へ向かう。格安の便のせいか、やけに、遠い。やけに、歩く。一部預けたとはいえ、こちとら4日分の生活用品と物販を担いでいる。とても、しんどい。

 

搭乗口、チケットを見せ、入場する。

さて、飛ぶぞ。フライトである。飛行機に、搭乗する。

 

料金がかかるので、席の指定はしなかったが、ソウイチロウ君とみょーちんが隣、私が別席であった。何故だ。

三列シートの真ん中に座る。そのうちに両隣の人も入ってくる。窓際の席の女性は、席に着くなり窓の仕切りを閉じた。窓の外が見たい私、愕然とする。前の列の窓を何とか観ながら、飛行機は、飛ぶ。

 

いつ乗っても、いつ考えても、不思議なものである。私は今、飛んでいる。普段、遙か上空にて見る、おもちゃのようなサイズになった飛行機。あの中に、今私は居る。何キロ出てるかは知らんが、私は今、空を推進している。

これはいかんなぁ。人類、ちょっとヤバすぎないかい?アポロンに焼かれるぞこれ。

軌道が安定したら、眠る。気圧のせいか、内臓が、ほやほやするのを感じる。

 

東京までは1時間半。普段私の乗る、小倉と福岡の高速バスの時間と同じである。一体どういうことだ。

起きたら、着いていた。荷物を持って、飛行機を降りる。

90分、ここはもう、東京である。いや、正確に言えば、成田なので千葉なのだが。まぁ千葉も東京みたいなもんである。

 

荷物を受け取り、メンバーと合流。とりあえず、空港のフードコートに座り、飯を食べながら作戦会議。

とりあえず我々は、友人の待つ荻窪まで行かなければいけない。調べたら、バスが早くて楽そうだ。ルートを共有したら、停留所へ向かう。結構離れているので、荷物が、重い。

バスに乗ろうとすると、「ギターは無理」と、断られる。色々調べるも、3倍くらいの料金を払わなければいけないとのこと。流石に無理である。

仕方ない。電車を使って、荻窪へ参る。重い荷物と座れない電車で、嗚咽を漏らしながら、3人は東京の地を刻む。

 

電車、電車、バスと乗り換え、2時間半ほどかけて、荻窪、喫茶店kichiに着く。文字通り、今回の遠征の基地とさせて頂く場所である。めちゃありがてぇ。

入ると、店長たる坂梨が迎えてくれる。店も貸してくれれば、今回の我々のサポートベースもしてくれる。感謝してもし尽くせない。

 

坂梨、A perfect day for apple deerというバンドをやっている彼とは、それなりに深い仲である。6年くらいになるか、昔やっていたPARAVOXというバンドから親交があり、仲良くしていた。ツアーの際にサポートで弾いてもらったことも、真剣にメンバーとして加入を誘ったこともある。

現在では、バンドをしながら、荻窪で喫茶店をしている。心優しいナイスガイである。生やしている髭とメガネが絶妙に、マスターっぽい。

早速コーヒーをいただきながら、談笑をする。身の上話を続けていると、やはり疲れているので、だんだんと眠くなる。この後はスタジオに入るのだ、もうすこし、頑張れ私。

 

時間である。荷物を持って、スタジオへと向かう。歩きながら、坂梨とバンドの経営論に語る。

そしてスタジオ。3時間合わせる。坂梨、ブランクはあるが、何度も手伝ってもらった仲。やはり、いい具合である。

練習終わり、皆でスタミナ丼を食らう。坂梨は、たびたび電話をしている。忙しいそうである。手伝って貰っている手前、とても申し訳ない。そして、とても、ありがたい。

 

kichiに戻る。我々は今日はkichiに泊めてもらう。明日共演の方々も、ひとつ屋根の下である。やいやい喋りながら、寝る準備。あぁ、こういうの、楽しいなぁ。私はタイルマットを、店の床に敷く。

ぼちぼちと話していたが、そのうちに睡魔が侵入。みな、だんだんと、眠る。私も、眠る。

東京での日々が始まる。