ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

謎仕掛けのイマジネイション

 

 

 

 

2021/4/24

 

謎仕掛けのイマジネイション

 

友人らと、ボードゲームをしておりました。

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これ、既存の本の別れたタイトルをくっつけて、売れそうな本のタイトルを作る「横暴編集長」というゲームです。

画像は7ゲームくらいやった後の傑作選なのですが、見ての通りの珍妙なタイトルが並んでいます。しかし珍妙と見せかけて、よく見れば結構、ハッとするタイトルもあります。

「たったひとつのブルー」「猛き咆哮のアリス」から沸き出る少年漫画感、良いです。「世界の中心で世界一周」もひねりが効いていてとても良い。「限りなく透明に近いバーにいる」も、少し深読みすれ、とても味とコクのある背景が浮かびそうです。

私が一番好きなのが「時計仕掛けの恋がしたい!」です。人間の本能であり、曖昧な感情が常に付随する「恋」という感情に対して、「時計仕掛けの」とは一体なんなのでしょうか。「恋がしたい!」のこの「!」もいい味を出していている。感情に任せた叫びなのに、ここでもまた「時計仕掛け」と衝突する。いやぁ、実に一筋縄ではいかないラブストーリーが動きそうですな。そういうテーマを持ったラブストーリーは嫌いではないですよ。よくある「ラブストーリーのためのラブストーリー」はあまり好きじゃないですが。

タイトルってのは不思議なもんです。「こういうタイトルの物語がある」とされただけで一気に世界が広がる。目に見えるのはたかだか数文字、しかしその奥にはまだ見ぬ無限のテキストがある。存在しない、架空のタイトルですら我々はそうなって、楽しむことができる。想像力ってのは、不思議なもんです。不思議でそして、素晴らしい。楽しい。

 

ちなみに、最優秀賞に選ばれたのは「鋼鉄ギズモ」でした。作者は私です。文学的なタイトルに混ざる「鋼鉄ギズモ」。まさか選ばれるとは思ってなかった。ちょっとだけ申し訳なさがある。

でも、本屋で「鋼鉄ギズモ」なんて本を見かけたら、私は買う。考えてください。「鋼鉄ギズモ」、「鋼鉄ギズモ」ですよ?