ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

浮揚する不朽

 

 

 

 

2021/6/9

 

浮揚する不朽

 

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十二人の怒れる男

面白いのですよね、コレ。陪審員たちの密室劇なんですが、言ってしまえば12人のオッサンが汗流しながら90分話すだけの映画です。マジで女性の出番なんて一瞬もない。下手したら20代すらカメラに映らない。そんな映画。

でも面白い。昔の映画って結構現代と味付けが違っていて、名作扱いされてるモノを見てもご飯が進まなかったりしますが、これは多分100年後でも面白い。会話で行き交う論理と、揺らぐ心理と弾ける感情、こういう面白さってもう言ってしまえば数学とかに近くて、式が同じなら答えは永遠に変わらない。とてもシンプルな形の「複雑な面白さ」がここにある。もちろん、出来が良くないと永遠の駄作が出来上がるのですが。

時代を越えるモノは、凄いですよな。こないだ見たギャッツビーなんかもそうなんですが、誰か一人の脳内にだけあったモノが、本人亡き後もずっと鑑賞が続けられている。作者冥利に尽きるものです。何なら万葉集とか、神話とか言ってしまったらもう何千年ですからね。この世におけるすべての鑑賞物は、誰かの頭の中にあったモノです。

その中でも「物語」というものはね、凄い。あるのは文章だけ。それが作品となって、紙やインクやフォントやレイアウトが変えられながらも、中身はほとんど変えられる事なく受け継がれていく。仮に今、例えばある作品のすべての本やデータが消えたとしても、その作品の識者が千人くらい集まれば9割くらいの復旧が可能だと思うのですよ。これが絵画や彫刻だとこうはいかない。音楽でも音階や歌詞は残るのですが、演奏は奏者のモノなので中々難しい。やはり物語、物語は、凄い。

人類がそこそこの知能を持った日から、令和6月9日の今まで、人類は無限に物語を作ってきましたし、6月10日以降も物語を作っていくでしょう。その中には私の心を震わせ、人生にすら影響を及ぼすモノがいくつもあるのでしょう。そうでなければ困る。頼むぜ人類。私も頑張って音楽を作るぜ。残るかどうかはわからんけど、現代技術は結構、作品自体は綺麗に残してくれるのでね。100年後の人類にも通用するモノを、頑張って目指していくぜ。