ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

夏とナンバーガールと

 

 

 

 

2020/7/30

 

夏とナンバーガール

 

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夏になったらしいので、ナンバーガールを聴いていました。夏になったらナンバガ、この因果は何回目だろうか、もうわからん。

これはもう、言わずと知れた名盤。だけどぶっちゃけて言えば「何が良いのかわからない」って人も居ると思う。こんだけ有名だけれども、間違いなく人は選ぶ。

ベース音がでかくて暑苦しいし、メロディは地味だし、歌詞はわけわからんし、そもそもボーカルは聞こえない。一般人の基準としての「良い」からはかけ離れた音楽なので、彼等に聴かせても、まず理解はされないでしょう。

ただ、何でしょうね、印象的なのです。例えば、夏、何か思い出せる風景はないでしょうか。それも、友人と言った爽快な海でもなく、失意の中で歩く夕暮れでもなく、真昼間、汗だく無感情で暑い暑いとだけ思いながら、公園の木陰に入る。自販機で買った炭酸飲料を開けると、プシュッと小気味の良い音がして、それを飲む。喉が震えて身体が冷え、ふぅと息を吐いたら、蝉の声がやたらとうるさい。あぁ、夏だと感じた、そんな風景。場所やシチュエーションはどうでもいいのですが、そういう瞬間、喜怒哀楽のどれでもないのに、印象に残るものなんて何もないのに、何故か忘れられない夏の瞬間、そういう瞬間は、ないでしょうか。

ナンバーガールは、そういう音楽です。良いとか悪いとかではなく、印象的で、気づいてしまったら忘れられない、そんな音楽です。

たぶん私は、死ぬまで忘れんでしょう。あの夏の風景も、ナンバーガールも。