ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

9月19日 キーロック ラストデイ

朝は10時半に起床。9時頃にはもう起きていたが、しばらくは意識の狭間をさまよっていた。

本日はレコーディング3日目、予定通りならば最終日である。集合は13時、もう少し、ゆっくりとできそうだ。

起きて、別室のソウイチロウ君を起こそうとしたら、もう起きてマンガを読んでいた。私は水を飲み、再び寝床へ横たわり、しばらくは液晶と戯れていた。

腹が空いたが飯はない。インスタントの味噌汁を流し込み、またゆるりとする。ソウイチロウ君と、会話をするでなくしないでもなく、ゆるりとする。


12時頃、出発する。まずは飯である。車を走らせ、なか卯へ行く。このなか卯は、福岡にある唯一のなか卯らしい。色んな意味で、何故だ。

ソウイチロウ君はカレー、私はうどんをすする。あまり行かないなか卯ではあるが、値段も味も、悪くない。

エンジニアの皆様へカレーも買って、スタジオへ向かう。


スタジオに、着く。そして程なくして、レコーディング3日目が、始まる。

本日は歌録り、そしてコーラス録りであるが、寝起きで喉も温まっていない。昨日録ったボーカルのピッチ修正を先に行う。すでにエンジニアの皆様の手で手術を施された私の歌を聴きながら、術後の経過を話し合う。


私は、歌がそんなに上手い方ではない。いや、格好いい歌は歌えていると思うが、純粋に上手い下手の問題になると弱い。レコーディングのたびに、歌録りに苦戦をして、その度に不甲斐なさにへこたれている。

今回も例に漏れず、苦戦をしている。手術にも、結構にお世話になる。ううむ、歌。年々、間違いなく向上はしているのだが。ううむ。


整い次第、あと1曲残っている歌録りに入る。

ボーカルブースに入って、ヘッドホンをし、マイクに思いの丈をぶち込む。冒頭に静かな部分のある、アルバム最後の曲である。力を抜いて歌うのは、とても難しい。苦戦を、継戦する。


1曲録り終わり、コーラスも終わる。これにて、録音の全段階は終了する。おつかれ、さまで、ございました。

これからは編集作業、敏腕エンジニアのヒライさんにミックスをしてもらい、我々はその間、待つ。休んだり、コンビニに行ったり、まだ1曲、別途弾き語りの曲を作らねばならんので、その歌詞を考えたりして、過ごす。


ミックスが上がったら、確認をする。細かい音の音量、楽器の位置などを調節してもらい、終わったら次のミックスをしてもらう。我々はまた、待つ。MVや、グッズのことを考えたりする。


そのうちに夜となる。曲は5曲中、2曲が終わったところである。そのままミックスをしてもらいなごら、我々は食事へと赴く。車を走らせ、定食屋へ入る。こんな時くらいは豪勢に行こうと思いながら、結局は730円のチキン南蛮を選んでしまう。チキンは私である。しかし、うまい。

帰り際、吉野家にてエンジニアの皆さんの食事を買い、戻る。私はまた出来上がったミックスを聴きながら、調節をお願いする。

少しして、おかしい。駐車場に車を停めに行ったソウイチロウ君が戻ってこない。寝落ちしているのだと思うが、万が一事故でも起こしていたら、心配である。ミックスを一度止めてもらい、駐車場まで歩く。

車に着くと、ソウイチロウ君は寝ていた。んもう。叩き起こして、スタジオへ向かう。ソウイチロウ君はこの後運転もあるので、スタジオで寝ていてもらう。


作業を再開。ミックスは難航している。我々がもっと演奏が上手ければ、もう少しスムーズだったはずである。嗚呼不甲斐ない。


ミックス、確認を繰り返し、深夜の3時頃、全作業が終了する。音源をデータで貰って、我々はスタジオの片付けをする。

ありがとうございました。


十周年にて、年内にミニアルバム2枚、それも演劇の2週間後に録音という、実に苛烈なスケジュールではあったが、何とか、乗り切る事ができた。

その分詰まった、いい音源になっていると思う。期待を、していて頂きたい。


片付けたら、車に機材を詰め込み、清算。ん十万の安くない清算をしながら、今回の段取りの悪さに、少しお叱りを貰う。今回は、あらゆる面が本当にギリギリであり、その結果迷惑をかけてしまった。非常に、申し訳ない。反省を、する。


車を出す。先に私を送ってもらい、ソウイチロウ君とエンジニアのコウヘイさんは、このまま北九州へ戻る。礼と詫びを告げて、私は事務所に戻る。寝る準備をしたら、そのまま、寝る。

レコーディングが終わった安堵と、お金が殆ど尽きた不安と、今後の流れが遅れている恐怖の中、それでも眠いので、寝る。

とにかく、終わった。