ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

無理演題

家族とは名ばかりのファミリーレストランにて、演劇の事を考えていました。

昨年、十執念の中で製作して、大好評でありました演劇プロジェクト。すっかり味を占めてしまったので、また作っております。

しかし、演劇、難しい。

あまりにも、自由がすぎる。何をしていなくても、舞台があり、人がいて、「演劇です」と言えば、それは演劇である。いや、究極人がいなくてもよい。

あるものをなくす事もできれば、ないものをあるようにする事もできる。空間のルールをリアルタイム制定しながら、架空の現実を作り上げる行為。

文字通りに、なんでもできる。私が舞台上で「トランプ大統領です」と言えば、もうそれはトランプ大統領である。いや、私はトランプ大統領ではないのだが、舞台上ではそういう事になるのである。

 

そんな状況下で、「面白いものをつくれ」という制約。難題なんだよなぁ。「夕食?なんでもいい」と言われた母親の気持ちはこんな感じだったのか。すまない母上。

しかも今回の場合「夕食?なんでもいいよ、ただしめちゃくちゃ旨くて、独創的な奴な。普通の飯をつくったらダメよ?」と言われてるようなものだ。すまない私。いや、言っているのも私なのだが。

 

だいたい、お話って、どうやってつくればいいんだ?絡む伏線であるとか、微妙な会話のニュアンス、全体の流れとか、勢いの総括、テーマ性と独創性の絡み。考える事が多すぎて、どうにも尻込みしてしまう。

序盤、中盤、終盤で繋がるシーンの事を考えると、要素はそれなりに同時進行で作らなければならない。これはコース料理を全品同時につくっているようなもんで、素人がやっていい事じゃない。とても、難しい。

まぁ、幸い料理と違って、冷めたり傷んだりしないし、何度でも作り直しができるので、少しずつ、やっていくしかないのではあるが。

 

脳内の、このコースは、このメニューは、結構いいものであるという、自負はあるのだ。

ダメにしないよう、ゆっくりと、火を通していこう。