ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

肉体言語から言語の話

 

 

 

 

2020/6/28

 

肉体言語から言語の話

 

友人の勧めとアマゾンプライムの幇助で「有田と週刊プロレスと」という番組を観ている。

くりぃむ有田がそのプロレス知識を槍のように振るう番組である。正直プロレスに興味はなかったが、観てみると、なるほど面白い。現代、タレントとして活躍している私もよく知る元プロレスラー達に、さながら戦国時代のような戦いの歴史があり、聞いているだけで熱くなる。

番組の中で、長州力の有名なセリフ「キレてないですよ」にまつわるエピソードがあり、「当時若者言葉であった『キレる』を長州力が言った事が不思議だった」と有田は語っていた。

ほう。面白い。

ひと昔前「キレる」というのは若者言葉であったらしい。

それは現代にも残っており、普通に使う。辞書にも載ってるんじゃないだろうか、そのくらいの言葉である。

せいぜい数十年前に、新しい言葉が生まれて、現代でも使われている。なんだか不思議な感覚。

プロレスが人気の時代なので、当然テレビなんかもある。そんな時代にも新しい言葉が生まれているのだ。「キレる」という言葉は、要するに「怒る」という言葉と同類ではあるが、ニュアンスが微妙に違う。「キレる」は突発的な怒りであり、「怒る」をより細分化したものになっている。「怒る若者」と「キレる若者」ではヤバさがまるで違う。「怒る若者」とは議論をしてお互いを高めようという気になるが、「キレる若者」には話が通じない。近寄りたくない。「キレる」と言えば聞こえはまだいいが、要するに「我慢できなかった」という事でもある。中には「我慢しない」みたいなヤツもいて、そういう奴は我々から見ればあばれうしどりみたいなもんである。人生単位で関わってはいけない。

閑話休題

その時代に、新しい言葉が生まれるという事は、それはつまり「足りなかった」という事である。

現社会での普段遣いの言葉では表現できない事象が増え、普段遣いの言葉を増やす必要があったのだ。

何百年とかでなく、すでに現代の文明の基礎はできているその時代に、名詞ならともかく動詞が増えるって、面白いですよなぁ。社会の変遷、文明の流れ、人類の変容を感じます。現代で言えば、動詞じゃないけど「ドヤ顔」とか「エモい」ってのもそうですね。こいつらは果たして残るのかどうか。

どんなものでも歴史があり、それを知るのは面白いもんです。プロレスでも、言語でも。

言葉がこの先どんな変遷を辿るのか、その歴史をリアルタイムで見られるのは、当たり前ですが、とても楽しみであります。

そして、その歴史の中で、私の好きな人達が、そして私が、どんな言葉を紡いでいくのか、それもまた、楽しみであります。

我々かて、足りていないのでね、言葉。