ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

ある振動

 

 

 

 

2020/11/18

 

ある振動

 

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ゆれるを初めて観たのは、北九州のライブハウスだったな。当時ハヌマーン山田さんのブログによく出てきたので気になってはいた、その程度の認識だった。対バンは大学生バンド、ホールのお客さんもまばらだった、その中でゆれるは、はち切れんばかりの轟音と熱情で、叫び散らかしていた。適当に見ていた私の心臓は、完全に打ち砕かれた。普段は肋骨をすり抜けて心臓を刺すようなエンタメが好きな私だが、この時は肋骨ごと心臓を粉砕された。衝撃と言ったらなかった。

その後もライブは観に行ったり、数度対バンもさせてもらったが、何故か縁が悪く、自身の(ノンフィクションの)ライブと被って観にいけない日があまりにも多かったのが悔しかった。

 

ゆれるの轟音を聞くと、いつも思い出す。そう、日常から我々の中では、あのくらいの音が鳴る時があるのだ。グチャグチャにのたうつ感情があるのだ。CDでは音圧が極限まで調整されているが、そのくらいが丁度いい時が、間違いなく、あるのだ。

「言いたいことがなくなれば 簡単に諦めるのに」

そう歌うゆれるの悲哀は、轟音の中で、我々の心を、ゆるりと、ゆらす。

私はたぶん、今後の人生の中で幾度となく、このアルバムを聴くのでしょう。

 

活動休止が惜しまれます。