ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

幻想と平和

2023/3/14

久しぶりに、ゆっくりと散歩をしていました。

気になっていた喫茶店でコーヒーと雑談を頂くと、その後は足の向くまま気の向くまま、正確に言えば近隣の野良猫スポットを縫うように、ひたすらに歩を散らしていました。

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写真の収穫はいまひとつでしたが、陽は暖かく、町も静かで、実におだやかな時間でした。空気中には少しずつ虫も混ざり始めて、春の訪れを感じます。そろそろ3月も半分になろうとしてますからね。そりゃあ、春ですぜ。

遠く流れる車の音を聞きながら、雲ひとつない空を眺めていると、なんて世の中は平和なんだろうと思ってしまいます。実際は何処かで誰かが叫んでいて、物価のインフレは収まらず、ウクライナでは戦乱が続き、真空管は高騰して音楽人は悲鳴を上げています。それでも私の見える景色は平和そのもので、すべてのモノが何の悲しみも纏うことなく、ただ幸せな時間だけが経つような、そんな景色が眼前に広がっています。

この平和は幻なのでしょうか、否、私ひとりでも立場と心が平和であれば、それはある程度の質量を持った平和だと言えるでしょう。実際、国や世界なんて規模は、最終的にはひとりひとりに集約されるのですから、間違ってはいないはずです。

無論、私だってずっと平和な訳ではないですが、少なくとも今は平和です。いかんですね。こうも安寧で、川辺のベンチに座って陽光なんて浴びていると、平和すぎてなんの文章も浮かんできません。なんの旋律も鳴りません。平和はなのは良いのですがね。音楽ができないのは困ったもんです。まぁ、それもどうせ歪みますので、時間の問題ではありますが。