ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

シベリアからの使者

 

 

 

 

2021/12/5

シベリアからの使者

家、何をするかいろいろと持て余したので、着替えてから散歩へ向かう。

冬、張り詰めた空気の中、コートを羽織って川辺を散歩するのはとても良い。いろいろと持て余した時は、やはり散歩に限る。昼食も食べてなかったので、適当な菓子パンとコーヒーをコンビニで買い、ベンチに座って食べる。目の前を交錯する通行人と、車がコンクリートを削る音、宙を舞う鳥々と、全く以て動かない、街。ベンチの冷たさとコーヒーの熱さを感じながら、甘ったるい菓子パンを貪る。うむ、やはり散歩は、良い。

ふとした切っ掛けで、カメラを持った老夫婦と談笑をする。鳥の写真を撮っているらしく、鳥について色々と教えてもらう。今、川の上で編隊飛行をかましたのは、ササゴイという鳥らしい。小さくて可愛らしいコイツらは、この時期にしかここには来ないのだという。季節が変わればシベリアの方に行ったりするらしい。私は川にはよく来て、鳥もよく見ていましたが、季節と鳥を絡めて見た事はなかったので、新鮮でした。まだまだ知らん事はいくらでもある。

しかし、すげぇな、鳥。シベリアだってよ。こんな気軽に国境を越えてしまうのか。私なんか、歩いて街まで行くのも大変だというのに。両翼で風を掴んで、ひょいですよ。一体全体奴等は、その両眼でどんな世界を捉えているんでしょうかね。

まぁ国境といっても、鳥にとっては人間の定めた国なんて関係なく、ただ空と大地があるだけなのでしょうが。我々にとっても、世界がそうであれば、どんだけわかりやすいでしょうか。ね。

コーヒーも飲み終わり寒くなってきたので、老夫婦に礼をして別れる。素敵な出会いに少しだけ胸が温まる。そうなると見える景色も、少しだけ色濃く見える気がするから、不思議なもんです。持て余してみるもんだな。夕方前、まだ少し時間は余ってるので、映画でも見るか。帰り道野良猫に挨拶をしたら、ポケットの鍵の感触を確かめて、また歩き始める。

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