ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

癖で巡る血流

2023/7/8

外は雨、昼食を食らったら何となく作業する気が起きなかったので、本を1冊読み終えました。恩田陸「薔薇のなかの蛇」です。

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遺跡に置かれた切断死体、現代イギリスの貴族の呪われた一族と謎の多い館、その一族に代々伝わる「聖杯」、当主の誕生パーティに届いた脅迫状、もうなんか、「これでもか」というくらいのゴシックでクラシックなミステリでした。とても令和の本とは思えないあらすじですが、残念我々はこういうものに興奮してしまうのです。これはもはや、癖。

この本は、わかる人にはわかる恩田陸「理瀬シリーズ」の最新版です。それだけで私は読まなければならない義務があります。内容はまぁ中々くらいだったのですが、シリーズ最新版というだけで私は満足です。しかしシリーズゆえ、そこまで人にオススメはできません。興味あれば「麦の海に沈む果実」からご覧下さい。私の中学時代が狂わされた1冊です。

この本が出たのは2021年なんですが、何とこれがシリーズの17年ぶりの新刊です。まさかまた会えるとは思っていませんでした。ファンにはたまらないものです。この続きももちろん待っていますし、何なら因果の結末まで見届けたいのですが、次は果たして何年後になるのでしょうか。気長に待っておきます。

 

やはりね、生きてりゃ何が起こるかわからないもんです。ナンバーガールも再結成しましたし、山田亮一もツイキャスをしました。17年ぶりのシリーズ新作の本も出ますし、るろうに剣心はまたアニメ化します。時さえあれば、何があるかわからんもんですよ。

そりゃあもちろん、過去の続きや焼き直しだけを有り難がるのは危険です。間違いのない老化の一端です。新しいものもきちんと取り入れていかないと、精神的な血流みたいなのは正しく循環しません。しかしそれでも、止まったもの、終わってしまったもの、昔好きだったものが「今」の形となって目の前に現れた時、私はどうしようもなく高揚してしまうのです。こればっかりは仕方がありません。