ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

押し入れの傍観

 

 

 

2021/6/28

 

押し入れの傍観

 

毎日、仕事をして作業をして遊びもしてサボってもいるので、明確な「休みの日」というのが、もう自分で無理矢理にでも作らないとない状況であります。結構みんなそうだと思う。

今日は軽く発注だけかけた後は、昨日歩き回った疲れもあったので、もう休みにしました。クーラーの効いた部屋でコーヒー啜りながら映画でも見ようと思いましたが、どうにも外の工事の音がうるさく興が削がれそうなので、小説へとシフトしました。この工事、あと半年以上続くらしい。死にそう。

本は良いです。どんな環境や状況であっても、没頭さえできれば周りの実生活、半径2メートルくらいのすべてが消失する。うるさい音も、暗くなっていく部屋も、残された作業も、すべてをさて置ける。動くのは左脳と眼球とページをめくる指だけ。もう二十年くらいやってますけど、飽きる気配がないですな。

昔見た、恩田陸の小説を読み終える。前に見たのは十年前くらいだろうか、完全にストーリーを忘れていて、ほぼ初見で楽しめた。十年後くらいにはまた忘れてしまうのだろうか。それは悲しい事なのか、それとも喜ばしい事なのか、私にはわからん。

ただ、こうして読んだ文章は、日常からは消えても、頭のどこかにまだ溶け込んで残っていると思います。大学時代に取ったノートが家のどこかにまだあるように、昔読んでもらった絵本が実家のどこかにまだあるように、今後の人生で例え想起される事がなくても、そのものは消える事なく残っていると思います。

そして、そういうものが沢山あることは、結構、幸せなんじゃないかと思います。部屋や押し入れがとっ散らかってしまうのが、難点と言えば難点ですが。

気付けば夕方、工事の音は消えていました。まだ脳に新しい、注がれたばかりの文章を反芻しつつ、夕飯にするのでした。