ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

マイ メイヘム

2023/10/29

朝、ソウイチロウ君宅にて、モゾモゾと蠢くように目覚める。昨夜の深夜練から、起床時間もそこそこに早かったからか、今ひとつテンポが掴めません。それでもバンドというものは、入り時間には会場にいなければなりません。入りされすればある程度は何してもいいのですが、そこだけは守らねばなりません。

シャワーを借りて「目覚めた」という事にしたら、ジャージのまま車内へと乗り込みました。コージーと今回のサポートベース、松岡君を拾ったら小倉南インターより高速道路へ。本日はノンフィクション、広島県、福山メイヘムにてライブです。

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こちらは本日のムロオです。最近数が減った気がする。大丈夫か。

いつも通り、他愛もなく節操もなく脈絡もない話をしながら、車は九州道から中国道へ。話、会話ってのはやはり面白いもんですね。「移動中の車内は数時間、喋りっぱなしです」と言うと驚く人もいますが、考えれば飲み会だって数時間は喋りっぱなしです。酒も料理もないだけで、本質は似たようなもんですね。各々の話題を転がして、たまにカチあって起きる爆笑。会話ってのは古今東西老若男女、歴史あるエンターテイメントですな。

サービスエリアを刻みつつ、車は山陽道から広島へ。時をかける尾道を越えて福山へと到着しました。4時間という移動時間は長くもなく短くもなく実に微妙でしたが、みんなで話をしていたら一瞬です。一瞬は言い過ぎだとしても、2時間15分くらいまでは圧縮されます。映画一本分くらいのもんですよ。スタッフロールとエンディングテーマを感じながら、7年ぶりくらいの福山。ライブジム、メイヘムへと到着しました。

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注意書きが素敵。私が高校生ならときめきますね。

ライブの日の一番面白くない時間、機材の搬入を気合いで終わらせて、じきにリハーサルへ。リハ前にソウイチロウ君から、鳴り音やらステージの形を説明され、音作りの傾向の指示を受ける。こういう所、本当に頼りになります。私はもうなんもわかんない。あんまり耳は良くないのですよ。病気的な意味でなく、センス的な意味で。

無事にリハーサルも終えて、楽屋で一息。

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写真左がサポートベースの松岡君です。昔Transmit sceneというバンドをやっていて、主催にも出てもらった事があります。今回サポートを頼むまで、そこまで深い絡みはなかったのですがね。縁ってのは不思議なものです。ありがたいし、とても愉しい。

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顔合わせを終えて、外を散歩していました。時間の配分をミスったことでロクな夕食を食べられない事が確定した私は、コンビニのおにぎりを涙の塩分で流し込みました。私は中量、食べると声がでなくなるので、出番が近いと我慢なのです。駅前にあるという尾道ラーメン、食べたかったですが、不甲斐ないライブをする方が嫌なので、我慢なのです。何度も失敗しているのです。我慢、なのです。

本番が始まり、流れるように我々の出番。出番前になって、何故だか頭痛やら倦怠が襲ってきましたが、今更どうこうもできません。尾道ラーメンを食べなかった報いでしょうか。歯を食い縛り、ただやるしかありません。

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馬鹿でかい音のギターを鳴らし、同じく馬鹿でかい音の3人と合わせて、空間を歪ませるように、弾いて、叫んで、轢き殺しました。出番前の頭痛はやはり直らず、頭を振るたびに意識が揺れました。もうワケのわからん状態でしたが、「メイヘム」ってのは大混乱とか、そういう意味ですのでね。まさにメイヘム。ライブってのはそうなんです。ステージの上ではただやるだけです。他にやる事はありません。弾いて、叫んで、轢き殺しました。ただそれだけです。

ありがとう、ございました。

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気づけば、ライブ前の頭痛も倦怠も何処へやら。すっかり元気になっていました。ライブをやると健康になるようです。ライブ健康法、良いですね。

打ち上げにて頂いた「府中焼き」なるものに感動を覚えながら、終わった後はサポート2人はホテルへ、我々は本日の寝床たる車内へと籠りました。車中泊、もちろん楽ではないですが、「ツアーやってる感」が出るので我々2人、実は嫌いではありません。横になれるよう改造し、毛布を敷き詰めれば、そんなに悲惨なものにはなりません。ホテルみたいな荷物の上げ下ろし、忘れ物の不安なんかもないので、完全下位互換という訳でもないです。そう思っていたんですが、今夜はめちゃくちゃに寒かったです。持ってきた少ない毛布で、襲い来る寒気をタワーディフェンスしながら、なんとか眠りについたのでありました。