何故か私は、ライブやレコーディングの、本番の当日は、目覚めが悪く、寝起きがグズる事が多い。
しかし、本番の翌日は、何故か目覚めが良く寝起きがスッキリな私。
本日は本番翌日であり、本日も本番である。
果たしてどうなるかと思われたが、朝は8時、それなりに綺麗に目覚める。
まぁまぁそれなりであった、面白くもない。
お湯とバナナでキメる。
とりあえず、寝ているソウイチロウ君に朝から大量に喋りかけ、ステキな朝をプレゼントする。
起床後はコタツに入って、朝食。
私は味噌汁に納豆、買ってきたおにぎりを2つ、本番なので余分に食べる。
ソウイチロウ君はショコラデニッシュを頬張る。
嫌がらせを兼ねてしきりに味噌汁を勧めるも、無視される。
朝一で銭湯へ行く。
ライブにしろレコーディングにしろ、渦中の銭湯の悦楽は、半端ではない。
これが、これが命か、ってなる。
しかしあまり時間はない、伸ばした羽がふやける前に上がる。
スタジオへ向かう。
運転手ソウイチロウ君は私をスタジオ近くで下ろし、我が家の切り忘れたコタツを切りに戻る。間が抜けておる。
さて、レコーディングするのは全6曲
本日は、3曲を仕上げる。
10:30。まずは、私がギターを掲ぐ。
私はギターが下手ではないが、上手くもない。
単純なものならいざ知らず、テクニカルなものが入ると、録音するのに時間がかかる。
うんうん唸りながら、私の根性と、近代の音楽編集技術の推移の結晶によって、3曲の録音を終了する。
帰ってきたソウイチロウ君を前線に送り、私はみんなの昼食を買いに行く。ふんふんと、録音予定の曲の音程を確かめながら、弁当を求め歩く。買ってきた後、私は体が欲するままに、1人ラーメンを食いに行く。
近くにあった長浜ラーメンは、うまくもまずくもなかった。が、すさまじく「ラーメン」であった、満足。
長浜ラーメンとは、そういうジャンルである。
帰投、ソウイチロウ君はジャガーを構えて順調にヘッドショットを決めていた。
私の歌の出番までもう少しあるので、体力を温存すべく、眠る。
目が覚めると、ソウイチロウ君が硝煙と共に現れる。思いの外、はやい。ご苦労であった。
聞いてみると、出来も悪くない。やるやん。
私も頑張らねばならぬ。
さぁ、歌録りだ。
歌うのだ。
叫ぶのだ私は。
そう意気込んで、苦戦する。
それが毎年のパターンであった。
今年は、ちがう。
初めから苦戦するだろうと思っており、案の定苦戦をしていた。
うたうのって、難しい。
誰だこんな歌作ったのは、私だ、おお格好いいぞお前、ありがとう。
しかしなんとか、絞るように録り終える。
「歌が上手くなりたい」とはそんなに思わないが、もっといい歌を歌えるようになりたい、とは思う。
せめて、残したものを、刻んだ歌を、心から誇れるようには、ならねばならぬと思う。
(別に、過去の音源を誇っていないわけではない)
レコーディングって、手紙を書くみたいなもので、普段話すのが上手い人間が、どれだけ文字を上手く書けるか、みたいなものなのですよ。
結局は、テキストを伝える技術。
厄介なのが、字が上手く書けても、話す能力にほとんど関与しないところなのですよね。もちろん、逆も然りなのですが。
そして、私は話したい人間なのである。
しかし、手紙も好きなので、頑張らねばならぬ、という話。
事務所に戻り、ソウイチロウ君はちょっと飯を食ったらスクリーンセイバーみたいに消えていった。
だめだ、私も、眠い。この文章を打ったら、寝るつもりだ。
明日はレコーディング最終日。
祈りながら、眠る。