ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

3月29日 這うロング

起床。現在は6:40。

電子音に呻き声でハモる地獄ハーモニーの中、目覚める。

 


本日もバイトである。

しかし昨夜はあまり眠れなかった。

考える事が多すぎるからかもしれぬ。減らさねばならん。


体力も気力もガタガタだが、とりあえず、お湯、バナナ、卵と味噌汁、納豆をローテーションで入れていく。

少しだけ、目が覚める。


バイトが終わったら夜はライブに行くので、相応の準備をしていく。パソコンで重くなった荷物にうんざりしながら、家を出る。

 


自転車に跨り、漕ぎ出す。

あぁしかし、やはりいい天気だ。体調はイマイチだが、自転車で行くことにして正解であった。

 

しかもこの時期は、桜が、良いのである。

一日一日、だんだんと咲いていく様を、観察する事ができる。

もうほとんどの木は咲き始めている。早咲きの木もなどは見事なもので、見つけるたび、思わず息が漏れる。

今年は、ゆっくり、花を見られるのだろうか。


カラカラと、ペダルを漕いで、春の表面をなぞる。

 


到、着。

駐輪場に自転車を停め、バイト先へ赴く。

花に気を取られ、少しのんびり行きすぎたようである。手早く着替えて、タイムカードを打刻する。

 


さぁて、バイトだ、時給を至急に自給して生活を持久させねばならぬ。支給日が待ち遠しい。

 

接客を、する。
時期的に、店にはまだ綺麗なスーツを着た社会人も、たびたび来る。みな、表情はどこかソワソワしている。頑張ってくれ給え、と、社会不適合人がエールを送る。


学生どもの春休みも落ち着いてきたのか、業務はそれなりに穏やかであった。今後の流れと、「ヒズミ回奏」の歌詞を考えながら、数時間をやり過ごし、退勤する。

 

 

さて、とりあえず適当な昼食を入れ、バイト先で少し仮眠を摂る。起きたら外に出て、コンビニにて各種公共料金と、とあるライブの、チケットの料金を支払う。

 


そう、9月、福岡のナンバーガールのライブに私、当選いたしました。やったぜ。ただの自慢です。よしなに。

 


さて、ネカフェに入りブースにてパソコンを広げる。コーヒーと脳髄を混ぜて意識を覚醒させる。

ここからは、戦闘である。

 


今日は、4月から始まるリリースツアー、そのフライヤーと、ポスターを作らねばならない。

正直、遅れに遅れている。遅すぎると言っても過言ではない。

ここまでできなかった自分と、考えられなかった手際と、もたらすであろう損失を考えると、本当に嫌になる。


しかも、これはまだ、全く手をつけていない。0からのスタートである。素材はあるにせよ、これはもう、ヤバい。

 


それでも、

それでも、作らねば、ならぬ。

誰に頼んでもいない以上、私が作らねば、永遠に、できぬ。作らねば。

写真を敷き、ロゴを刻み、画像を貼り付けて文字を打つ。掛け声と叫びと奇声を3で割った声を脳内で発しながら、一気に終わらせる。

 

ちなみに片耳に入れたイヤホンからはバナナ炎である。何周目かわからない。日村さんの叫びに、少しだけ救われる。

 


電光石火で、仕上げる。

仕舞いにはハイーッ!とカンフーのような掛け声を脳内で繰り出し、入稿まで済ませる。

一仕事、完了である。

ようやったぜ、私。

 


とりあえず、ほうける。

ジュースとコーヒーと携帯で、まったりとする。

 


さて、もう一仕事と思ったら、ここで、頭に微妙な違和感。痛みではないが、違和感。

それは例えば、いつのまにか切れていた指先を、確認する前のような感覚。恐らく頭痛の1mほど手前の状態、あまり良くない。

最近たまに来る、危険信号である。これがある時に動くと、ロクなことにならぬ。

 


凝った作業はやめておく、簡単な整理だけ行う。少し、ブログにも手をつける。

 


そうこうしていたら、夜である。

退出、自転車を蹴り、ライブハウス四次元へと向かう。福岡about a ROOMの主催ライブを観に行くのである。


金曜の夜もあってか、街は、人が多い。

するりと抜けて、夜の天神を駆る。

もう、夜でも全然寒くないなぁ、おい。

 


到、着。

自転車を停め、四次元内へ入る。

開幕で知人と出会う。まぁ、居ると思っていた方々、顔馴染みが複数、いた。


ライブハウスでライブを観るのは、私としたことが、本当に久しぶりである。

爆音を、耳でなく、全身で感じ取る。そうそう、この感じこの感じ。いいね。

 


しかし、会場内には結構な人がいた。

久しぶりの主催だというのに、アバウト、やるじゃあない。

 

業務のために、私はイベントの後半からしか来れなかったので、到着して間も無く最後のアバウトが始まる。

SEから入場してきて、音を鳴らして、ワァッと客席の手が上がる。


あぁ、上がってる。いいなぁ。


そして鳴らして、歌い出す。

曲を重ねて、空間を、作っていく。

調子悪かったか全然声は出てなかったが、いいライブであったとは思う。お客さんの盛り上がりも上々であった。

 


だが私は、途中から、少し気分が悪くなった。

悪いのはアバウトではない。むしろ悪いのは私である。


単純に、お客さんが多いことの嫉妬ではある。

 

この感情を、感覚を、今私は、このブログにて、事細かに書こうとした。現に二十行くらいは書いた。

だが全部消した。何か、何か今はまだ、この感覚を、見せたくない、今はまだ、晒したくないのである。


これは私の、安い安い、プライドである。

しかしこの誇りは、安くても使い古しでも、ボロがきてても、私の愛用の、誇りなのである。


今はまだ、私の胸に、留めておく。

終演後、自身の発する、結構な辛気の臭いがバレる前に、四次元を去る。知人と少し話したのち、また自転車を漕ぎ、家に帰る。

 


道中も、なかなかに、精神が、変容していた。

鬱感と疲れで、頭は鈍重、そのくせ時折、浮かび上がりそうな感覚にもなる。

これは、ヤバい。


道中、緊急避難的にラーメンを入れる。

少しは、マシになる。


ジムノペディで精神を繋ぎ、命からがら、家に辿り着き、ブログを書き始めて、今。

 


こういう日は、早く寝るに限る。

というか、早く寝なければならない。

半分は冗談だが、命に関わる。

寝ます。