ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

5月10日 ベアーブック、ジャンゴ

朝は10時、ソウイチロウ君宅にて起床。

本日は熊本にてライブである。熊本までの道のりは短くはないが、入り時間が遅いので、朝は悠々と、眠れる。車を出すのは12時の予定である。しばしのんびりと、する。

そのうちに、ソウイチロウ君も起床。時間もぼちぼちなので、私は先にシャワーを頂き、近くのドラッグストアまで物資を買いに行く。

気分はパンだったが、何のパンを食うか迷っていううちに、安さに惹かれてうどんを2玉、カゴに入れる。2日の遠征になるので栄養も欲しい。サラダチキンとバナナも取り、ソウイチロウ君の分のコーヒー、菓子パンと一緒にレジに渡す。

ソウイチロウ君の宅に戻る。ソウイチロウ君がシャワーを浴びている傍ら、お湯を沸かし、うどんを茹で、その間にバナナを齧る。

うどんが茹ったら、ザルにあげ水でキュッと締める。先ほどのサラダチキンをほぐして混ぜ、すりゴマと醤油に、卵も混ぜる。パワーフードの出来上がりである。やったぜ。

食べ終えて、整えて、荷物を車に積みこむ。いつも通り、運転はソウイチロウ君、私は助手席で出立する。

 

外はとてもいい天気だ。最近の、ライブの日は、大体いい天気である。ありがたい。外に出る日、洗濯したい日の雨はね、つまらんですよ。家にいる時はいいのだけれど。

みょーちん、お嬢を拾い、また動く。熊本まで、下道で行くつもりであったが、やはり高速を使う事にした。ナビによる熊本までの到着時間が、昨日深夜に見た時と、結構な差があったのだ。下道で行けばギリギリの時間になってしまう。入り時間に遅れる訳にはいかない。高速を使うのも、やむを得まい。

全員乗り込み、荷物を積み、ノンフィクション徘徊号、小倉東インターより、九州道を行く。

 


相も変わらず、阿呆な話を応酬させ、日本の地図を、南になぞる。

 


して、熊本に、着く。

下道で行く時間配分だったので、少し時間が余ってしまう。適当なコンビニで時間を潰し、ラーメン屋を見つけ、すする。熊本ラーメン、なるほど、中々のモノではないか。

選べる麺の硬さが「バリカタ」「バリカタに近い」「普通」と書いてあった。なぜその表記なのかはわからないし、みょーちんが「『バリカタに近い』で」と言ったら「あ、カタですね」と返されて、益々わからない。厨房にも「カタでーす」と言っていた「バリカタに近い」とは一体。

すすっていたら、入り時間がギリギリになってしまう、いつもそうだ、私の人生は。


熊本Djangoに、入る。さて、本日熊本、宜しくお願いを、する。

リハーサル中、また弦が切れてしまった。最近、本当に弦をよく切る。しょっちゅう切る。何故だろうか、パーツを換えたりしてみたが、また切る。昨日弦を張り替えて、その練習でも切った。今日のリハでも切った。もうね、嫌んなるのよ。

リハーサルを済ませて、弦を張り替える。タダじゃないんだぜ。わかっておるのかい、こいつは。

 

さて、気を取り直す。弦変えに時間は使ったが、今日のイベントは始まりが遅いので、もう少しゆるりとできそうだ。商店街を、ぐるりとする。広島なんかもそうだが、広いアーケードの商店街は、とても良い。力強い穏やかさがある。そしてくまモン、常にどっかにいて、常に目に入る。さすが熊本である。

 

さて、開演時間である。久々に再会した10.8℃の世界線を見ながら、MCを考える。バンドでない、弾き語り形態なのは残念だが、シバさん、歌上手いなぁ。歌が上手い人は、総じて羨ましいぞ、私は。

さて、我々の、前のバンドが始まった。楽屋にて、我々はスタンバイをする。スタンバイ中、何曲か見ようとホールにいったら、ゴリゴリのハードな演奏の中で、女の人がステージ上で絵を描いている。なんだそれは、度肝を抜かれた。こんなん見た事ないよ。コレが真のライブペインティングかと、少し感動すらする。熊本Djangoのスタッフ、MADさんのバンドである。すげぇなすごいです。


さて、我々の番である。SEと共に入場し、構える。前口上のMCは、先ほどの度肝をそのまま伝えた。喋りに喋って、演奏が始まる。

余談であるが、最近、私は少し、歌が上手くなってきた気がする。同時に、演奏の具合も「わかってきた」気がするのである。遅すぎるものかもしれんが、コレを研ぎ澄ましていくしか、私の道はない。

その能力を、遺憾無く発揮できるよう、演奏を、した。私はどちらかというか、技術とクオリティよりもエンターテイメントを重視したいが、技術とクオリティを放棄してはならない。常に、より良くしていかねばならぬ。


30分の、演奏を終える。ありがとう、ございました。

物販に立っていると、お客さんの評判も、それねりに良かった。「めちゃくちゃ良かった」にできない辺りは、我々の力不足である。しかし、本日は、コレである。今日はやたら、お嬢が人気であった。ちょっぴり悔しい。

新しく出会った人に挨拶をして、いつも見てくれる方に感謝を告げ、清算と、打ち上げまで終わる。なんだろう、やっと少し、熊本に馴染めた気がした。

本日、お世話になったMADさんとも、話をする。結構に、我々を、評価してくれる。期待をしてくれているのが、わかる。

本当にありがたい。いずれ応えねばならぬ。


搬出まで終え、車を発進させる。道中のウエストでうどんをすすり、ダシの余韻に浸りながら、寝床たるネットカフェへと赴く。サポート2人をネカフェにぶち込み、我々2人は車中泊である。

車中泊、私は全然に構わない。むしろ、少し楽しいとすら思ってしまう。得な性格である。もちろん、良い寝床であるに越したことはないのだが。

適当な駐車場に車を停め、近場のコンビニで準備を整える。春の夜は、少しだけ冷えて、とても落ち着いている。

ソウイチロウ君と、明日の行程を確認した後、最後部座席に潜り込み、眠る。


異郷の地の、名も知らぬ駐車場で、眠る。考えてみりゃおかしな話よ。

快適さとは程遠い寝床で、伸ばせない足の位置を調節し、目を閉じる。

明日は、鹿児島である。