ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

6月28日 バンプと私と

朝は7:30、街のネットカフェにて起床。

昨夜は小倉の練習から福岡に戻ると、すでに終電がなかったので。仮宿を設け、夜をやり過ごした。こんな日でも、多少なり夜を更かしてしまうのは、ホント、良くない。クセになってしまっている。

そして、本日はこのまま、天神の街にて朝番のバイトである。効率が良いんだか悪いんだか。

 

準備をして、タイムカードを切ると、自由と引き換えに人生に時給が発生し始める。さぁて、そこそこのお金の為に、そこそこに働きませう。現状、それしか生きる道は、開けていない。

そこそこの忙しさを、そこそこに捌き、そこそこに気合を入れて、そこそこにサボるのもそこそこに、バイトを終える。同僚と雑談をしながら、有給申請書だけ書いて、店を出る。

外は、むわり、空気が膨らんでいる。そこまで暑くはないが、湿度が肌を撫でる。梅雨である。そして、夏の予兆もしている。

 

電車に乗って、早々に帰宅。川沿いを歩いて帰るも、猫はおらず、寂しい。

事務所にて、やはり昨日の詰め、ネカフェ泊からの朝番、連日のモノもあって、疲れている。そのままベッドに横になり、眠る。

30分ほどの予定ではあったが、起きるたびに、もう少し、もう少しと伸ばして、結局は2時間ほど寝てしまった。しかしまぁ、頭はさっぱりしている。後悔はない。

全然進んでいない「ヒズミ回奏」の製作を少し進める。原型はできつつあるが、間に合うのか、これ。あと二日、不安である。

そして、弾いてるうちにまた、新しいアイデアを思いつく。思わず録音、数度聞き返して、ニヤニヤとする。これだよこれ、こういう事が何度も起こるから、やめられないのだ、音楽が。

色々と予定もあるので、この曲が出せるのはだいぶ先になるだろうが、今からとても楽しみである。何もなくなっても、これを秘めているだけで、8ヶ月は続けられそうだ。嬉しいね。

 

時間なので、実家へと赴く。飯を頂く。

兄の新作の財布に意見を言ったり、さくら嬢に無視されたりして、そのうちに事務所に戻る。

さて、仕事をせねばならん。やる気はなくはない、が、中々動き出せず、無為に過ごす。そのうちに、BUMP OF CHICKENがアップルミュージック解禁されている事を知り、久方ぶりに聞いてみる。結構意外と言われるが、私の音楽の入りはバンプである。こんなんだったか、もうあまり、覚えていないな。

 

「おもしろ  FLASH」で検索。

この意味がわかる人間はもれなくオッサンであろう。思い出すのは、当時まだインターネットがそこまで普及していない時代。父親の流れで小学生高学年ながらインターネットを手にした私。当時隆興を極めていた、FLASHという自主制作のアニメーションが面白すぎて、毎日のように見ては、酸素を失うほど笑っていた。

アニメの中には、既存の楽曲に自作アニメを掛け合わせたモノもあった。今で言うMADである(これも古いのかもしれんが)。その中でも特にバンプによるストーリーのある楽曲は人気であり、大量のモノが作られていた。初めて聞いたのは「K」だったか。余計な楽器のない、ギター、ベース、ドラム、歌という、純粋なバンド音楽を初めて聞いた私は、ひどく感動した。なんて泥臭い音楽なのだ。そこからはもう「グングニル」「ハルジオン」「リリィ」「天体観測」など、ネット回線がすり減るほど、見た。神のように崇拝していた。普通の、皆が夢中になる音楽が、流行が理解できず、鬱屈していた私を救う、それは紛れもなく神であった。

思えば、私のディストーションは、ここから始まっていると言っていい。

 

今聞いてみると、やはり、違う。違うというか、何せ聴き始めたのが小学生。音の良し悪し、演奏の良し悪しなど分からない。勿論、悪い訳ではないのだが、今聞いてみると、そこに神はもういなかった。代わりに等身大の人間四人が、全力で音を鳴らしていた。

急に、明後日で私は30になる事を思い出した。

歳を、取ってしまったな。

 

ちなみに、そこから中学生、やっとこさCDレンタルという概念を知った私は、バンプと仲が良いというだけでアジカンを聴き始め、バンプがカバーをしていただけでピロウズを聴き始め、双方にどハマりする。アジカンの方は、そこからナンバーガールイースタンユースと派生していく。これで大体の今がある。

逆にバンプは、リリースが遅く、少し冷めてしまった事、「プラネタリウム」辺りから泥臭さが消えてしまった事もあり、あまり聞かなくなっていった。

 

丁度後半、バンプを聴きながら書いていたのだが、先程「ねぇ僕ここで 生きてるよ まだ絵を描いているよ」なんて、歌っていた。

作り話みたいなタイミングで、少しだけ笑う。

 

仕事、しようかね。