ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

12月24日 ゴーゴープライド ゴーゴークラヤミ

朝は6時50分に起床。

昨夜は、壊れたハードディスクを何とかしようと、ずっとザオラルを唱え続けていたので、MPが不足している。あまり眠れなかったので、回復もできなかった。

くそ、タイミングが悪い。自転車が盗られ、ハードディスクが壊れ、何だか徐々に、生活が壊れていっている気がする。頼む、もう少し、もってくれ。

バナナはない。買い置きの食パンを食べる。1枚をブロックチーズで貪らながら、もう1枚を卵を乗せて焼く。揺れる頭で齧る。水を飲む。

本日は、バイトである。

お湯を飲んだら、着替える。今日の夜は練習なので、準備をしていたら時間がかかってしまう。同僚に、少し遅れると詫びを入れる。

 

外は、寒い。空気が年末じみてきた。

年末の空気は好きだが、今はちょっと疎ましい。寒気と乾燥。体調に気をつけねばならぬ。

 

駅から電車から街に着く。早足でバイト先に向かう。師走とはこのことよ。いや、師ではないな、おこがましい。

3分遅れでタイムカードを押す。さぁて、仕事だ。冬休みを迎えた者共よ、切り刻んでやろう。まだそんなにはいないか。

とても忙しく。猟奇的なお客様だらけであった。クリスマスイブの日に何をしているんだ君達は。

どっちのクソ客ショーを同僚と繰り返しながら、バイトは終わる。クリスマスイブの日に、何をしているんだ我々は。

 

終わりり際、シフト表を見てビビる。わたし、今日が仕事納めであった。マジかよ。30歳フリーターが24日で仕事納めとか、自らの終了ぶりにビビる。

まぁ、休みは嬉しい。残高が心配である。来月のクレジット払いを生き残れるのか、まぁそんな心配は来月にすりゃあいい。

 

少しバイト先に残らせてもらい、軽く目をつむる。開けたら、「よいお年を」をかまして、店を出る。今年もお世話になりました、来年はせめて、厨房の扉を修理してください。サンタさんでもいいぞ、メリークリスマスだ。

電気屋に赴き、ワンマンに向けてある道具を買う。公表しようか、どうかは、悩む。

わたしは、結構、「サプライズ」というものが好きなのである。基本的に、事前情報は少ない方が、見た時により愉しみは深まると思っている。

なので「何の道具か」は言いたくないのだが、この「サプライズ」という技法は、現代という時代と、死ぬほど相性が悪い。

現代、人は膨大な量の選択肢の中から、パッと見で商品を選んでいく。目立つ方が強い、というのは昔からではあるが、現代においては目立たなければ土俵に上がることすらできない。戦う事すらできないのである。

漫画やら小説やらがクソみたいに全部説明したタイトルを用いたり、バンドが馬鹿丸出しの宣伝をしたり、ユーチューバーが気持ち悪いサムネを展開するのもそれである。どんだけ嫌われても、話題になれば勝ち。それが現代の正攻法である。

地獄も極である。はやいとこ、カウンターが来るのを祈るのみである。無理そうだけれど。

特にバンドっていうのは、格好いいものだと思っていたのだけれど。違うのですか?現代のバンドマンの皆様、どうですか?誇り高く、やれていますか?

私は少なくとも、誇りは持っています。顔面を推してはいますが、別にやりたくない事をやってる訳ではないです。

 

「プライドが高すぎる」って、よく言われます。バンド界隈で、まさかこれが悪口として言われるとは思ってなかったのですが。

 

閑話休題、とあるブツを買って、バスに向かう。高速バスに乗って小倉へ向かう。バスの中では、眠る。

 

小倉に着く。そういえば駅で革作家たる兄が出店していたので、冷やかしに行く。

FUSEに着く。ワンマンで照明もしてくれるフリーランスエンジニアー、コウヘイさんが居たので、少し打ち合わせをする。私の持ってきた秘密道具を、ステージに合わせるべく、動く。

しかし、なかなか上手くはいかない。ぬぅ、秘密道具、がんばれ。

 

その後、メンバーが揃って、練習が始まる。

ワンマンに向けて、久しぶりの曲、このメンツで初めて合わせる曲もあるので、さらいながら、合わせる。懐かしい、そして、難しい。ぬぅ、頑張らねば。

さらい終わったら、流れの確認。普段の4倍近い曲量を見ながら、あーだこーだと話し合う。

 

セットリストは、もう作っている。その最後の、畳み掛けの流れが2パターンあり、悩む。

情念重視か、盛り上がり重視か、どちらでも良さそう。本当に、寿司か焼肉かみたいな話になってくる。甲乙はつけがたい。

保留のまま、終了。明後日の練習までに整えよう。

 

帰り、私は持って帰る多量の荷物と、事務所から車に積むべき多量の荷物と、ワンマンまでにやるべき多量の作業があるので、福岡まで送ってもらう。

車内は、ポケモンの話で盛り上がる。いいなぁ、剣盾。とてもやりたい。というか、ブームに乗りたかった。楽しかっただろう。惜しいことをしたな、と思う。

というか、ポケモン、可愛いの、多いね。タイレーツというポケモンに、撃ち抜かれてしまったよ。

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そういえば、昔、星のカービィ、好きだったなぁ。自由帳に、無限に描いていた。

 

事務所まで送ってもらう。

荷物を事務所に入れると、あれ、何かがおかしい。暗い、暗いぞ。電気電気。

 

電気が、点かない。あぁ、またやってしまった。

 

暗闇の中、スマホの充電も5%しかない。当然、この部屋では充電もできない。何とかライトを起動させ、急いで荷物を整える。瀕死のピカチュウにフラッシュをさせるのって、こんな感じかな。あの時はすまなかった。

なんとか整え、車に積み、仲間たちは戻る。

私は暗闇の事務所に入って、パソコンを開く。こちらの充電はまだ80%、ある。さすがMacBook Proだぜ。きみに決めた。いけマックブック、フラッシュだ。

スマホも繋いで、充電も回復させる。これで、目覚ましもかけれないという悲劇は回避できそうだ。

 

少し、電気のつかない部屋で、過ごす。

しかし、これもまた、少し面白い。普段我々が、いかに視覚に頼っているのかが、わかる。触覚を研ぎ澄まして、着替えて、歯も磨く。散らかっている部屋を見なくて済むのも、いいね。

そして、いつもより、静かな気がする。こんな機会でもないと、わざわざ暗闇で過ごすことなんてしない。これも悪くない経験である。

しかし、不便なのは間違いない。酌量の余地を求めて電力会社に連絡すると「払い込み用紙を探してください」と言われる。あいにく、部屋は暗黒である。無理です、というと「朝以降になります」とのこと。礼を言って、電話を切る。悪いのは、間違いなく私である。

 

眠る。眠る時は、全く何も、電気など関係がない。どうせ暗黒である。メリークリスマス、と脳内で呟いて、眠る。

 

ワンマンまであと5日。