ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

平地人を戦慄せしめよ

2020/4/30

 

 

 

 

誰かの作った、つくり話が、誰かを感動させ、人生まで揺さぶってしまう、というのは、ひょっとしたらとても面白い事なんじゃないだろうか。

つくり話、単なる一個人の、その脳内に住む人々を、好きなように動かして、望むように喋らせて、それで紡いだ文字通り自分勝手な歴史が、娯楽として一大ジャンルを築きあげたんだよ。それが人類史、何千年と行われてきたんだよ。

遠野物語」に「このような奇妙な話を聞いて、人に伝えたくならない人がいるだろうか?」というような一説がある(もちろん、作中であれらが「つくり話」と明言されているわけではないが)。話とそれによる情動には、生物としてのヒトを動かす何かがあるのである。

好きなんだよなぁ、つくり話、物語。

私の意思の成分表示には、いくつものつくり話が溶け込んでいる。死ぬまでにあとどれくらい混ざるのだろうか。それはこの意思を、どう変化させるのだろうか。

いつだって、記憶に刻み込まれる物語というのは、ふとした拍子に突然訪れるものなのである。

次はいつになるだろうか。楽しみにしている。

願わくばそれをもって、我を戦慄せしめよ。なんてね。