ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

ネバーランドブルース

 

 

 

 

2021/1/5

 

ネバーランドブルース

 

中学生の時に買った本を、読み直している。

当時高校生だった本の中の彼等は、2021年になっても高校生のままであった。平気で酒や煙草を嗜む、大人だと思っていた彼等は、今見ると思いのほか子供であった。

初めて読んだ14歳の頃以降、何度となく読み返しているこの本。それでも見るたびに、彼等に対する所感は少しずつ変わっていく。とても面白い。

f:id:iijitakahiro:20210105234614j:image

本は変わらない。何十年経っても、中の文字は一語一句変わりはしない。たとえ表現規制が起ころうとも、「今私が」持っているこの本、この綴じられた紙束に変化はない。仮に失われる事はあっても、変わる事は永劫にない。

対して、私は変わる。身体も、細胞も、思考も、嗜好も、少しずつ変わっていく。本とは逆に、「変わらない」事ができない私は、変わらなければ生きていけないのである。

だから、昔読んだ本と対峙すると、昔の姿そのままの友人と対話をするような気分になる。そしてそれを通じて、昔の姿そのままの私を見ることもある。それを見るととても懐かしい思いになり、逆に新しい発見もあり、少しだけ、恥ずかしい。

 

今になって、2021年になって初めて読んだ本も、20年後には同じように思っているのだろうか。14歳の私は、31歳の私なぞ想像もしてなかった。今の私もまた、51歳の私なぞ想像もしていない。

いや、想像、したくないのかもしれない。

そうなっても、この本の中の彼等はまだ高校生なのである。酒や煙草をそれらしく呑み、青みのかかった弁舌を振りかざす彼等。それを見て、先の私は何を思うのだろうか。

想像を、したく、ないなぁ。