ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

イジリキタン

 

 

 

 

2021/3/25

 

イジリキタン

 

福岡が南区、井尻という街にて、撮影をしていました。否、撮影をされていました。

ツナくん改め竹崎彰悟くんのMVの撮影です。えらいことお洒落なカフェにて、ガチガチのカメラとマイクを銃口のように向けられていました。我々には台本もあり、しっかりと演技をして参りました。

ここまで本格的な撮影は初めてだったので、新鮮で面白かったです。私は演劇こそ少しだけやってましたが、撮影となるとやはり方針が違いますな。何度も何度も同じ脚本を、カメラの位置を変えながら繰り返し撮り、そのたびに「さっきと同じ動きと演技」を求められるのは中々に集中力を要するモノでした。

シーンを繋げるために、光の具合や環境音の按配が変わらないようにしたり、髪の流れを前のシーンと同じように整えたりと、様々な工夫が見られました。とても勉強になります。演劇がライブなら、こっちはレコーディングですね。

周りを見れば初めてのモノだらけで、私は終始ウキウキしておりました。それでもできる限りの演技を、しっかりとしてきましたぜ。そうそう、アレもありましたよ「アクション!」って言う時カーン!って打つ、アレ。カチンコというらしい。

たぶん合計で2分もないシーンを、2時間くらいかけて撮りながら、ワクワクの撮影は終了しました。2時間といっても、ミスを多発した訳じゃないですよ。画角を変えたりしながら、何度もやっていたのです。中々疲れましたが、面白い撮れ高にはなったと思います。ツナくん改め竹崎くんのMVにご期待くださいな。

f:id:iijitakahiro:20210325203219j:image

 

撮影の終わった後、井尻という町をぐるぐると徘徊しておりました。こじんまりとして、背伸びのない、良い町です。天気も良く晴れていて、厚着でいると汗がでてきます。広場では子供も遊んでいて、地域猫も周回していて、とても穏やかな気持ちになりました。

f:id:iijitakahiro:20210325201940j:image

こんな風に、ライブ以外で知らない町に来てのんびりできるのは、中々に珍しいですな。大体はこの後ライブで、MCを考えたり、気持ちを作らなければいけないので、気持ちに余裕ができづらいのです。たまにはこういう日も良いです。温かな春の中を、ゆっくりと浮遊してきました。

帰り際、見かけたラーメン屋で昼食を啜っていると、カウンターに一人で食べていた制服の女学生が、「ごちそうさまです」と言いながら店を出て行った。声には義務感もわざとらしさもなく、颯爽としていて見惚れてしまいましたぜ。

知らない町の知らない電車に乗って、知ってる街に帰りました。随所に桜も咲いていて、なかなかの車窓でした。

私の住まいの立地上、立ち寄りづらい大橋や井尻。用事がなければ訪れる事はないでしょう。あの町の人間達や、電車ですれ違った方々とは、もうほとんど会うことはないでしょう。まぁ、それもまた、一興であります。

春の初めに、愉快な珍道中でありましたぜ。感謝。