ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

本当はね

 

 

 

 

2021/5/22

 

本当はね

 

f:id:iijitakahiro:20210522200724j:image

ゆるゆると、流れる川を見ていました。

風は強いが、太陽はもう確かな暑さを発射していて、じわじわと肌が灼ける感覚を思い出す。気温は中和されとても丁度良いが、春のそろそろを予感させる次第。そんな日の、そんな気候。

干潮気味の川は水底がよく見えて、その上を流れる水がゆるりと光を反射して、影が踊るように揺れている。太陽と眼球が直角に当たる地点では水がキラキラと瞬いている。半袖で晒された腕と頭部を強い風が撫で、力を持ち始めた日が髪を灼く。足の裏から靴と靴下を貫通して、土と草の感触が流れてくる。呼吸をすれば暖められた空気の中の、春の匂いで肺が膨らむ。とてもとても穏やかな、5月の終盤です。

こういうの、文章にしたらひとつずつなんですが、本当は全部同時に感じているのです。言ってしまえば言葉する必要すらなく、何なら「感じる」という言葉すら必要ないのです。ただ私の五感と神経と、5月の終わりの色々が作用したという、ただそれだけの話なのです。本当はね。