2021/7/18
ジュンブライト
映画「隠し砦の三悪人」観ました。名匠、黒澤明のヤツです。エンタメ大作、とても面白かった。
白黒の映画を観ていると、妙な迫力に気圧されます。白と黒の濃淡の奥から、異常なパワーを感じます。ひょっとしたら「白黒の映画」ではなく「黒澤の映画」なのかもしれませんが。
この迫力の正体はなんなのでしょうか。画面の統一感とか、画角、演技でしょうか。当時はもちろんポリコレ意識なんてないですし、主演の三船が「撮影中に本気で矢を打たれて、殺されると思った」と語るほど倫理観もガバガバです。妙な演者の偏りも今よりは少ないでしょう。当時は当時で偏りはあったかもしれせんが、2008年に出たこの映画のリメイク版で、卑しい農民のオッサンを松潤が演じている辺り、かなりお察しです。
私は当時に生きていないので正確な所はわかりませんが、この映画からは、何かとても「純」なものを感じました。映画というかもう、ものづくりの精神として、ひどく純粋な何かを、私は確かに感じたのです。
そういうモノは、後生大事にしておかねばならぬ。誰もが持っておきながら、管理がとても大変、かつ痛みやすいものなので、もう諦めてしまっている人も結構います。だけれどそれは壊れる事はなく、じっと自分の何処かで息を潜めて、纏わりついた汚れや膿の奥で確かな輝きを放っているはずなのです。
誰に見せるでもないその奥の光を、自分だけで見惚れながら、誇りを持っていきましょう。私も、努力をいたします。