ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

クソみたいなホラー映画の向こうに

 

 

 

 

2022/6/6

クソみたいなホラー映画の向こうに

ホラー映画を観ていました。前から観ていた「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」というシリーズの劇場版です。

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名前があまりにもB級で、人前で「これが好きなんだよ!」って言いづらいシリーズ名をしてますが、これ、なんと中身まで完全にB級です。そして、とても面白いです。

いわゆる、心霊映像を扱うシリーズなのですが、その心霊映像をドキュメンタリータッチで追っていくうちに、そのドキュメンタリー映像自体がだんだん心霊映像じみていく、という形の映像作品です。フェイクドキュメンタリー、モキュメンタリー、なんて言うらしいですね。

通常ホラー映画ってのは、主人公がいて、物語があって、フィクションとして進行していくのですが、これはあくまでドキュメンタリー、現実の体で映像が進んでいきます。「実際にあったこと」という前提で進む中で生まれる、珍妙な生々しさ、ジメジメした気持ち悪さに、怖さがゆっくりと蒸していき、それがとても良いのですよ。CGなんかも凄くチャチいのですが、なんだか観ているうちに「霊って実際はそうなのでは?」とも思わされる不思議さがあります。大体、本物は見た事ないので誰にもわからんのでね。

このシリーズ、1本1本は独立した話なのですが、ちゃんとシリーズとして共有する人物とか、繋がる話とか、遡って増える伏線なんかがちゃんとあり、連続ドラマ的な楽しみもあります。観るまではそれなりに舐めてましたが、正直、めちゃくちゃ面白いです、これ。ロクな配信されてないですが、ツタヤなんかに奇跡的に置いてある場合もあるので、興味のある方は是非に見て欲しいです。

 

このシリーズ、1作劇場版があるだけで、あとはDVD販売及びレンタルという、すごく規模の小さな作品です。しかしそういう界隈にも、確かに面白い、きちんとした作り手の想いが織り込まれた作品があるというのは、嬉しい事ですね。全国区ではないけれど、確かな実力を持ったバンドがいるのと一緒です。MVの再生回数が数千回の曲に、人生が救われる人もきっといるのです。

我々がそうだ、と言うつもりはないですが、そうした存在を確かに我々は知っていて、それはとても嬉しい事です。まぁ、売れてない我々には、そういう存在が慰みにも感じてしまう所は、少しだけもどかしいですがね。