ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

室外機が止まった日

 

 

 

2021/9/11

 

室外機が止まった日

 

本日、7月の半ばの暑くなり始めくらいから、今この瞬間まで連続して稼働していたクーラーを、止めました。

約2ヶ月、稼働しっぱなしで実にご苦労であった。私のアジトは鉄筋マンションの最上階かつ部屋の天井が低いため、毎年夏は地獄と化す。階段、前の階の踊り場からもう空間が歪んでおり、部屋の低い天井に触ると確かな熱を感じる。これは「危険」ではない、人が住まう空間ではもはやない。

窓を開放し、汗を流しながら暮らすのもまぁオツなものである。実際に数年前まではクーラーがなかったのでそうしていた。しかし昨今、ご存知の通り夏はもはやそういう状況ではなくなった。クーラーがなければ本当に生死に関わる。しかも半年前から隣で始まった建築工事が凄まじい騒音を発しているので、もはや昼に窓を開けている事はできなくなった。八方は既に塞がったが、それでも私はここで日々を過ごし、意欲の有無に関わらず作業をこなさねばならん。

かくして、無限に稼働するクーラーを導入した。快適にも程があるが、どちらかと言うと役割は生命線である。贅沢に思えるかもしれないが、エアコンは温度を変化させる時に電力を使うので、かけっぱなしだと意外と安い。規模にもよるが、私は月数千円くらいの値上がりだった。そのくらいなら、マジで安い。そうやって何とか、この夏はやり過ごした。

そして、そんなクーラーが本日、ついに稼働を止めた。窓を開けていれば涼しく、閉めていてもそこまで暑くならなくなったから、端的に言えば、夏が終わったからである。

騒音のような蝉がいなくなり、静寂が染みる空気にも慣れてきた。風も透明度を増して、心地よく我々の身体を撫でる。クーラーと室外機の稼働音も止まり、部屋の中の音がするりと抜け落ちたように、静けさが漂っている。

もう秋になる。開いた窓から見える、暮れなずむ街の中、一匹だけツクツクホーシが泣いている。出遅れたソレは、相手を見つける事ができるのだろうか。

始まってしまった、秋。秋は無常の季節である。その原因は、未だにわからない。