ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

ユージンシ

 

 

 

 

2021/10/3

 

ユージンシ

 

爽やかな秋晴れの日。

日曜につき近隣の工事もやっていないので、静かさが張り付いたような六畳間。少し離れた家のテレビの音、たまに通り過ぎる少年どもの自転車の音を聞きながら、電気もつけずにコーヒーを飲み、谷川俊太郎の本を読んでいました。いやぁ、実に心地よい時間でした。

本はだいぶ前にあったらしい、谷川俊太郎へのインタビューのものでした。詩だけでなく生い立ちや想いも語っていて、とても良い本です。ちなみに図書館で借りてきたヤツですね。良い出会いを頂きましたぜ。

谷川俊太郎の詩は、美しくもどこかのんびりとしていて、身に溶け込むような心地よさがあります。読んでいると、実は世界ってそんなに忙しいものじゃないんじゃないか、という気にさせられます。

ゆっくりと、しかし確実なリズムをもって、わかりやすい言葉が流れる詩。私が歌詞で書いてるものは、どうしても焦燥や怨恨が込もってしまうのでね。こんな風な詩はあまり書けんのです。しかし、文体はともかくこの手法や単語選びは、大いに勉強になります。

「詩は音楽に恋している」と言っていましたね。詩はどうやっても意味が込もり、無意味であることができないから、無意味であれる音楽に恋をしているのだと。私の解釈が正しければそういう事を言っていました。本のどこを読んでもそういう素敵な言葉や考えが並んで、胸が暖まる思いです。

詩は良いです。日常からかぶりつきはしないのですが、ふと思い立った時に見返し心を潤す、昔の友人のような存在です。今後何度もお世話になるのでしょう。宜しく頼むぜ、友人。