ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

2年半ぶりの今日

 

 

 

 

2022/3/21

2年半ぶりの今日

朝、大阪にて目覚める。ここは昨日我々に慈悲を差し伸べてくれた井地神のおわす場所。朝の感謝の挨拶をしたら、昨日結局ドン・キホーテで買ったパンを口に詰め、水で押し流す。

荷物を整え、井地君に別れを告げ、車を出す。サポート2人を回収したら、高速道路へと突っ込む。本日は、京都グローリーにてライブである。

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謎に4回くらい料金を取られるETCに苛つきながら、大阪、京都間の空を走る。大阪城を見つけたサポートおひなさんが「わぁ〜すごい、緑、緑だぁ」などとよくわからない感嘆を上げる。運転のソウイチロウ君は大阪の交通事情にイラついている。いい感じに、ツアー感が漂ってまいりました。この感覚、久しぶりよ。

京の街に着くなり、ツアーの醍醐味、銭湯へと向かう。

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銭湯は気持ちが良い、サウナは最高である。しかし私はバンドが長いので、長く湯に浸かってはいけない事も知っている。完全に気が抜けてしまうと、もう今日のライブのやる気がなくなってしまう。口惜しいが、早めに出る。

控室で、しばし、伸びる。昔、謎にここで長崎のバンズと会った事がある。面白かったな。

 

整えて車を出し、穏やかな京の街並みを疾走。いちいち格好良い街の名前に嫉妬しながら、京都グローリーへ着く。

グローリーは2年半ぶりです。1本コロナで中止になったきり、随分とご無沙汰をしていました。7年くらい前に初めて来たっきり何度も訪れているが、2年半も空いたのは初めてかもしれない。

店長である、安齋の兄貴とも久しぶりの再会ができた。スタッフにはピアノガールの秋くんもいてくれて、とても嬉しい。

リハが終わったら近くの天一でラーメンを喰らい、近所のスーパー、ライフで水やらエナジードリンクやらを買い、コンビニでコーヒーなりを飲んで、近隣をふらつく。昨日同様、いつも通りのルーティンができている。久しぶりにできたいつも通りに、心が少しだけ、沸く。

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京の町は、どこにいても静かさがある気がする。景色がうるさくないのもあるかもしれない。また昨日同様、ちょっと油断するとここで暮らした思い出が滲んでくる時がある。実に不思議な、町です。

ライブが始まる。今日は1バンド目から、空間が爆音で鳴っていて、私の心はアガる。しかし出番前に耳が死んでしまうのはヤバいので、2バンドからは耳栓をして観る。それでもやはり音は浴びたいので、ちょいちょいの着脱を繰り返す。ただライブを観に来たなら耳は死んでもいいのですがね。出番前は気をつけねば。

本日はフード出店、とうひちのラーメンもあったが、やはり出番前には食べられぬ。小麦の香りに感情を狂わされながら、爆音の京のバンドたちと同郷のドペクターズを見る。危険なテンションが上がっていくのが、わかる。

そして本番、2年半ぶりに見るステージからの景色を楽しみながら、精一杯鳴らしました。当然のように疲れはあるが、疲れがあるからこそ入る気合もある。最終的には躊躇いのないアンコールまで頂いて、最後までしっかりと、やりきりました。ありがとう、ございましたぜ。

 

出番が終わり、やっと食べられるとうひちのラーメンに、唸る。細胞が塗り替えられていく。うまさが、すぎる。

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その後は京の若いバンドたちと、同郷なのにあまり絡みがなかったドペクターズと、安齋の兄貴やスタッフさんと、しばしの歓談をする。やっと来られた京都グローリー、ここもまた、昨日同様、我々のホームであります。

最後、荷物をまとめ、スタッフさんと安齋の兄貴に一言挨拶をして帰ろうとするも、ちょっと口を開けば話はまた広がって、いつまでも話し込んでしまう。帰りたくなかった。あと3時間くらい、誰かの意識が落ち始めるくらいまでは、ずっと話していたかった。そういう場所があって、そういう人がいるのは、やはり嬉しいことです。

思いを振り切って、別れを告げ、車を出して小倉へと舵を切る。ナビの予想時間は7時間10分。しかも帰りは雨にぶつかるらしい。しかし我々の思いは揚々である。こんなに楽しいから、こんなに大変でも、また来てしまうんだよなぁ。

昨日から、色んな人への感謝が止まらない。そんな人たちの期待や想いを裏切らないことだけは、心に誓っている。

さらば関西。遠からずまた来るぜ。ワイパーの音を聞きながら、私は眠気覚まし用のガムを一枚噛んだ。