ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

伊坂的姿勢

2023/1/21

本を読んでいました。

f:id:iijitakahiro:20230122011112j:image

伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」再読です。「首折り男」という殺し屋が動く連作小説になってます。伊坂幸太郎の殺し屋は、物騒なのに皆どこかのんびりしていて好きです。シリーズもあって沢山の殺し屋が出るのですが、例えばめちゃくちゃな不運であったり、恐妻家だったり、めっちゃ良い人であったりして、どいつもこいつも人間くさい、良いキャラクターです。

伊坂幸太郎は好きですね。もう中学生くらいからずっと好きです。ラノベのようだと批判されることもあるのですが、ラノベほどキャラクター重視ではなく、ちゃんと「小説」としての面白みを大事にしているようで好きです(別にラノベが悪いと言っているわけではないです)。エンターテイメントを書くのが死ぬほど上手いので、それだけ書いて食っていくこともできるでしょうが、ちゃんと行間や余韻であったり、時には社会性やテーマ性もきちんと盛り込んでいく姿勢が見えるので、そこも好感が持てます。

この「姿勢が見える」って、大事なんですよな。それこそ伊坂幸太郎は1作目「オーデュボンの祈り」からそれなりには追っているので、その変化は結構わかります。余韻とかテーマ性みたいなものを「本当はそう思ってるけど」とかじゃなくて、きちんと文章で作品に反映させようとしてるのがわかります。わからない人は申し訳ないですが「アヒルと鴨コインロッカー」や「グラスホッパー」のラストなんかは余韻ですよな。あのシーンは、単純なエンタメ作品とするならばなくてもよかったはずです。

エンタメ作品として読みやすいモノを仕上げながら、きちんと「小説」として、「文章」としても良いものにしようとしてます。その姿勢を見せています。姿勢を見せるの、大事です。私ももっと頑張ろうと思います。やる姿勢、やってやる姿勢を、見せていこう。