ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

その作品に用がある

2023/3/10

昼下がり、気怠い中で意を決して見た映画があまり好みではなく、さらに気怠い気持ちで六畳間に転がっていました。ジャンルは「コメディ」とあったのにそこまでの笑いはなく、むしろヒューマンドラマに近いモノであって大いに拍子抜けしてしまったのです。ジャッキー・チェン主演のラブコメを見た時もたぶん今みたいな気持ちになるでしょう。もう少しの可笑しみが、今の私の人生には必要だったというのに。

まぁ何を言っても作品に非はなく、どちらかと言えば面白く感じられなかった私か、Amazonプライムにおけるジャンル分けのシステムに問題があるところですが、とりあえず今の私の落胆はどうしようもありません。軽い頭痛と共に、眠るでもなく横になっていました。

たぶんこれから死ぬまでに、無限の駄作に出会うのでしょう。正確には、私が駄作だと思うものに。しかしそうやっていくつもの落胆を重ねても、作品に期待することを辞めてはいけません。どれだけ身体が重くなっても、これこそは名作のはずだ。これを見れば自分の人生は変わるはずだ。そういう期待を持って作品には向かわねばならんです。既に今の私にできている気はしませんが、心の底ではそう思っているはずです。期待を忘れ、価値を忘れ、「どうせ映画なんてこんなもん」と思ってしまう人生は、寂しすぎやしませんか。私の出会うべき映画が、作品が、出会わなければならない小説が、まだまだこの世にはあるはずなのです。私はただ、それを探す旅をしているのです。

溜息が充満してきたので、何となく外を出ると、黄砂かなんかで空気が白く埋まっていました。景色がよく見えずに嫌な感じがしましたが、遠くに映る夕焼けの色は少し幻想味を帯びていて、なるほどこれも悪くないな、と思いました。今日見た作品も、ひょっとしたら未来、どこかで何かと繋がり「あの作品は悪くなかったかもしれない」なんて思う日が来るかもしれません。たぶん来ないとは思いますが。

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