ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

あの輝きのように

2023/3/12

本日はツアー9本目、宇部BBBにてライブでした。

f:id:iijitakahiro:20230313174830j:image

小倉から宇部までは車で1時間ほど、先週と先月とで関西までツアーをしている我々にとって、1時間などという時間はもう無いも同然です。早く着くのはシンプルに良いことなのに、道中は長めの雑談もできず、サービスエリアにも寄る理由がなくなると、何だか少し寂しい気持ちになるのは、我ながら狂ってる気がします。運転もしないくせに。

本当に、込み入った話もせずに1時間で到着。近い、近すぎるぜ宇部。バイトに行ったけど急遽休みになったあの日のような呆気なさと共に、とりあえずは搬入を開始しました。私の中で宇部は工業と猫とエヴァの町なのですが、早速搬入中に宇部猫にお会いできてテンションが上がる。さすが宇部だぜ。

f:id:iijitakahiro:20230313175528j:image

搬入を終えたら挨拶を済まし、セット表を書き、リハまで時間があったので宇部猫を探す徘徊をする。本当に、ちょっと探せばそこに居る。金鉱を見つけた坑夫もこんな気持ちだったんだろうか、と思いながらカメラを向ける。

f:id:iijitakahiro:20230313175733j:image

f:id:iijitakahiro:20230313175720j:image

こいつは片目が潰れて中々にロックな顔つきでしたが、それでも可愛いのが、猫。ずるい。私も可愛くなりたいもんです。舌ペロしてんじゃないよ。

颯爽とリハを終えたら、ラーメン屋「一九」へ。宇部に来たらいつもここに行ってますが、周りに飲食店が少なく、あっても昼過ぎに一度閉まる店が多く、選択肢が少ないのはちょいと悲しいですな。別にこのラーメンが良くない訳ではないのですが。

f:id:iijitakahiro:20230313180230j:image

暖かさもあり、穏やかな気候の宇部でしたが、夕方にさしかかると雨が降り始めました。雨音とコンクリートの匂いの中、イベントは始まりました。

 

本日の出演は我々含めて7組。全体的に、というか我々以外の人員はほぼ若く、20代前半はおろか10代までもフロアには存在していました。「10代」という年齢がもはやフィクションに感じ始めた30代が我々ノンフィクション。圧倒的な重圧の中で鼓動を高めていました。

「若さ」というのはステージに出ます。というかステージ上では、その人間がそのままに出ます。いくら取り繕っても、格好つけても、ライトの下ではすべてが暴かれます。それが良いとか悪いとかではなく、ステージってのはそういう場所なのです。

若さの溢れるステージを見て、またそれが「若さの溢れるステージ」であると認識してしまった自分を省みて、やはり幾許か感情は動きます。どれだけ頑張っても、我々にはもうあの輝きは出せません。無理にそれを出そうとしてもステージ上では「無理に若さを出そうとしてる30代」としか映ることはできません。それはどれだけ格好悪いことでしょうか。

なので我々は「格好の良い30代」を全力でやり切る、そういうライブをいたしました。若さってのは輝きですが、人間は若さしか輝きを持っていないわけではないのです。そんなもんなくても、いくらでも我々は発光してやります。その両眼を潰すほどのルーメンを、全身から照射してやります。

弦引っ掻いて、叫んで、全力でライブをいたしました。宇部BBB、ありがとうございました。

f:id:iijitakahiro:20230313182307j:image

打ち上げ後半、店長のカズヤさんと話していました。彼との付き合いももうだいぶ長くなります。宇部BBBに来たのももう、数えるのが面倒くさいくらいにはお世話になりました。

ライブハウスってのは、やはり大変です。直接的に売上に貢献できているとは言いづらい我々は、いつも申し訳なさで一杯です。それでも、我々はライブハウスでライブがしたい。好きな人のいる場所に行って、思う存分叫び散らかしたい。そのためにも、もっと頑張ります。

 

打ち上げを終え、帰宅をしました。ライブで疲れた身体には、帰り道の短さがありがたいです。やはり宇部、近すぎるぜ。こんなんいくらでも行けてしまいます。

また軽率に行きます。次に行く時はもう少し歳をとっていますが、その分もう少し輝きを増せるよう、精進しておきます。宇部からの帰り道は、工場地帯の凄まじいまでの夜景が見られます。我々もあのくらい、輝いていきたいもんです。