ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

耽溺の檻の中

2023/6/18

京極夏彦鉄鼠の檻」読了しました。

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1300ページ、圧巻の文庫本です。巷ではサイコロ本なんて呼ばれています。

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京極堂シリーズは4作目ですが、面白かったです。正確に言えば面白かったような気がします。今作のテーマである「禅宗」、その歴史を0から説明する事に始まり、そもそも「禅」という概念自体が言語で説明しきれるようなモノでもないので、ちょっと概念が溢れ過ぎていて、ぶっちゃけわからなかったです。ペットボトルになみなみ入った空気を、コップに注いで飲んでるような感覚。何を言ってるのかわからないと思いますが、私もよくわかってません。なんならこの本自体が禅問答みたいなものなのかもしれません。

それでも、小説としてはとても面白いものでした。どいつもこいつも、外連味に溢れた人物、言動、思念。とても好きです。シリーズはまだまだ続いているので、これからも読んでいきます。私は榎木津さんが好きですね。みんな好きでしょうが。

 

ひさびさに、しっかりと小説に耽溺した気がします。ページをめくりながら、言葉が脳の回転と噛み合ってグルグル回る感覚。工場の機械みたいに、脳から液体がドバドバ抽出される感覚。とても幸せです。京極夏彦自体、読み始めたのは数年前からですが、今ではすっかり好きな作家の1人です。好きな作家が増えるっていうのは、なんて幸せなことなんでしょうか。世界が広がります。

結局、好きなモノが増えれば増えるほど、幸福度は上がるんですよ。好きなモノを増やすのが幸福への道のはずです。まぁ、嫌いなモノなんてのは何もしなくても増えていきますが、好きなモノは中々増えないのでですね。特にこの歳になると尚更です。やはり探していかねばならんです。