ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

隔世と学生

2023/9/20

小倉FUSEにて、ライブでした。

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北九州周りの大学生ライブ、いわゆるジョイントのゲストとしてお呼ばれいたしました。その中には我々の故郷、北九大の軽音サークルもあり、文字通りの先輩として意地を見せねばならん日でありました。

我々はもう大学を卒業して10年以上経ってしまい「それでも心は大学生」なんてノリも使えないほど月日が重なってしまいました。若い方々が別の生き物に見えます。まぁ14年とか歳が離れてしまえばそれはそうです。20歳から見た6歳みたいなもんですからね。我々も、もう良い大人です。「良い」かどうかは定かではありませんが。

 

平日、水曜日の15:30スタートという学生ライブのスピード感に喰らい付きながら、彼らのやるコピーバンドを見ていました。演奏していた方々がそれぞれ何年生かは知りませんが、やはり時代か、我々の年代よりは皆、かなり楽器が上手いように思います。音像の作り方に甘い部分はままありますが、それでも同い年の頃の私よりは段違いに上手いです。DJという名義で曲を流す方もいて、時代は変化したもんです。

というか現代、コピーバンドをやるにしても、サブスクが便利すぎてずるくないですか。プレイリスト共有とかずるくないですか。我々はCDをたらい回したり、USBに入れて回したり、最終的にUSBが帰ってこなかったりしたのに。ちくしょうめ。在学中、マジで6本くらい消えました。何処へ行ってしまったのか。

コピーバンドの中、オリジナルをやっているバンドもふたつあり、どちらもとても良かったです。少なくとも同年月の時のノンフィクションよりは上手かったです。終わった後に彼等は音作りのやり方なんかも我々に聞きにきてくれたので、ドヤ顔で先輩風を吹かせていました。うむうむ、貪欲で素晴らしいですぜ。しかし音作り、わからんですよな。こればっかりはレシピのない料理みたいなもんなので、感覚を鍛えるか、誰かに作ってもらうしかないのです。我々も昔は大いに悩みました。懐かしいもんです。

少しすると、ゲストなのでトリを頂いた我々の出番。ここで下手を見せるわけにはいきません。時間を合わせて皆で集まって、曲作って練習して、ライブをしたりCDを作ったり、ツアーをしたり企画をしたり、そういうことが素晴らしいものだと、人生を懸ける価値があるものだと、言葉ではなく感覚で伝えなければいけません。歳を取ろうが、下手だろうが、売れてなかろうが、真剣にバンドと向き合って日々を過ごせば、人の心を揺さぶることができるのだと、我々は証明をせねばならんのです。

大学の先輩として、バンドの先輩として、人生の先輩として、精一杯のライブを行いました。ずっとやってりゃ形にはなります。私の歌なんて始めた頃は壊滅的に下手でしたが、14年もやってりゃやはり上手くなります。やりましょう、初めましょう、続けましょう。真剣にさえやればどうにかなります。それはゴールなんてない旅です。バンドをやるという行為に対しては、「売れる」ということすらゴールではありません。何処に向かうか悩ましいですが、そうやって悩みながら歩く行程それ自体が楽しいもんなんです。我々も、どうにかしていきます。

 

 

小規模な打ち上げを終えて、私は帰路につきました。大学生諸君においても、これで終わりではなく、これからも宜しくして頂きたいです。わからんことあったら何でも聞いて下さい。ツイッターでも何でも良いです。我々に先輩風を吹かさせてください。「やれやれしょーがないねぇ」何て言いながら、口元はちょっとニヤけている、先輩ってのはそういう生き物です。お忘れなく。