ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

岩国の日常

2023/11/12

朝も早くに起きました。朝早く、と言っても8:30という時間は、一般の人からすればむしろ遅いくらいの時間です。しかしながらバンドマンという人種には「朝」という概念がないために、8:30はそれなりに早い時間となります。寝惚けた眼を擦っていました。

あくびをしながらフライパンに日を入れ、電気ケトルで湯を沸かし、それなりの量の朝食を作って平らげました。遠征の日は何が起こるかわからんので、朝はとにかく量を入れておくと今後の展開が安定します。それにアスリートの人が、前日と当日で炭水化物を多く入れるという話を聞いてからは、私も摂り入れるようにしています。バンドマンがアスリートなのかどうかは知りませんし、ひょっとしたらそういう言い訳で、沢山食べたいだけなのかもしれません。

カチャリ、と扉の鍵を締め、鍵をなくさないように鞄の所定のポケットへ。朝の川縁を歩いて駅、電車とバスをハシゴして小倉へ。コンビニで物資を整えたらソウイチロウ君宅で合流。車を発進させてサポートの2人とも合流したらETCのゲートを開け、一路山口県へと向かいます。本日はノンフィクション、岩国ロックカントリーでのライブです。

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先月と今月で何回渡ったかわからない関門橋を渡ったら、中国道を刻んで山陽道へ。いつも通り馬鹿みたいな話をしながら、いつも通り変わらない高速の景色を眺めていました。最近はなんだか、「今回の遠征で一番面白かった奴は誰だ?」というような選手権が行われているため、各々が躍起になってボケ倒し、車内は良くも悪くも転げ回っています。別に何が貰える訳ではないのですが、自身の発言で笑いが生まれればやはり嬉しいもんです。それも仕込んだ話とかではなく、たまたま生まれたものなら尚更ですね。我々なんか大体は空回ってしまうので、芸人さん達の凄さを思い知ります。

 

数度のサービスエリアを抜け、山口県は岩国へ。ドライバーソウイチロウ君は、もう全くのナビ無しでロッカンまで辿り着けます。回数を重ねた証でもありますが、流石です。私なんかいまだに、小倉市街でも迷う事があるというのに。

岩国には早く着いてしまったので、リハより先に昼食へ。普段は「スエヒロ」という中華そばを贔屓にしていますが、流石に食べ過ぎたのと、リハ前に食べるには駐車場もないので、車は市街を走り新規開拓へ。しかし紆余曲折を経て選ばれたのは「来来亭」でした。ベクトルがスエヒロと一緒じゃあないか。

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雑に美味いラーメンを食べたら、岩国ロックカントリーにイン。親戚の家なんかよりは多く訪れている気がします、お馴染み岩国ロックカントリーです。いつも通りリハをして、いつも通りの場所に機材を直し、いつも通り岩国を徘徊していました。

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昨今は冷えてきましたが、ここ2〜3日はより深みが増してきました。寒さではなく冷たさを感じはじめたので、もうそろそろ冬なのかもしれません。そんな中私はジャージでした。季節に取り残されていく。

 

顔合わせが終わり、コンビニで買ったホットコーヒーを飲んでいるうちに外は暗くなり、開演となりました。

共演のマサカリさんの若さに驚き、クラゲカヒトカの妖怪みたいな楽曲群に驚きながらストレッチ。ソウイチロウ君に貰った「響声破笛丸」とかい必殺技みたいなクスリもキメました。声が出やすくなるらしいですが、その真偽やいかに。

そしていざ本番。しかしやる事は変わりません。全力を出すのみです。

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隠し撮り下手すぎ部。

本日のサポートベース、松岡くんとのコンビネーションも大分仕上がってきました。彼のベース的な技量はもちろん、きちんと馬鹿みたいな話をして、仲良くなってきたのがデカいですね。音っていうのは精神に依るもんです。技量が同じなら、仲の悪いバンドより良いバンドの方が格好いいと私は信じています。

ライブは慣れたもんです、ましてや岩国ロッカンとなれば尚更です。しかしライブをするのはいつでも最新の自分であるため、最新の自分の力を見せねばなりません。そのためにお金も使いますし、色々と我慢もします。良いライブができたという事が我々の「結果」であり、我々の「成果」であります。

絶叫、絶唱、弾き叫びましてライブは終了。本日はなんとか喉も持ったので、アンコールまで完遂できました。「響声破笛丸」のおかげかもしれません。さすが必殺、くらえ響声!破笛丸!

 

ライブが終わり、楽しい楽しい打ち上げでした。我々はこの後、岩国に泊まりということもあって、実質的に時間無制限の打ち上げです。しっとりと、ダラダラと、語り合っていました。ダラダラしすぎてなんか大学生の宅飲みみたいな空気でしたが、こういうのも楽しいもんです。明らかにそろそろお開きの空気なのに、誰も「さて」と言い出さない、言いたくない空気の中、ソファに座ってダラけていました。

とはいえ、夜も更ければ解散です。片付けをして、サポートをホテルに投擲し、我々は車中泊を決め込みました。車を変えての車中泊も、もう3回目ともなれば慣れたもんです。椅子の隙間から入り込む冷気を、毛布を使って迎撃しながら、ゆっくりと岩国の夜に溶けていきました。

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