ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

旧世界の人間より

2024/1/27

昼過ぎ、簡単な用を済ませるという名目で、外の世界へと這いずり出ました。日常、外に出らずとも全然構わない精神構造をしているがゆえ、意図的かつ定期的には外に出なければなりません。幼少期、家に遊びに来た友人に「ずっと中にいるじゃん!」と言われて衝撃でしたね。私はずっと中で良いのです。

生きる為の金をコンビニにて献上し、この前発掘しました、昔使っていた通帳がもう使えなくなってる事にブチ切れながら、あとは適当に散歩をしていました。ひっそりとした雑貨と喫茶の店をたまたま見つけ、コーヒーを飲みつつシナモントーストを食んでいました。

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安くはなかったんですが、タイミングと経験値に勝る理由はありません。若い頃だったらせめてコーヒーは食後にコンビニで済ませていたでしょう。これも私の成長です。もちろん美味しかったですし、良い時間を過ごしました。

 

満たされた腹を晒しながら、また徘徊していました。なんだか妙に、建物の解体や建て直しが目につきます。「いつの間にかできていたコインパーキング」とかいう一番面白くない結果もありました。しかもそれがそこそこ繁盛していそうなのは、なんだか寂しい気持ちになります。

私が生まれ育った町。私が何万歩となく踏んできた町も、昔に比べて随分と綺麗になりました。悪い事ではありません。綺麗になった町に住む新しい人もいて、それを否定するわけにはいきません。別に、無くなった建物すべてに愛着があるわけでもなく、むしろほとんどは一歩たりとも入ったことのないものです。

それでも、少しだけ寂しくなるのは何故なのでしょうか。いつのまにか私も、この町では旧い人間になりつつあります。幼稚園に向かおうと母の自転車の後ろに乗っていた頃、その頃から見てきた景色です。やはり愛着は、あります。勝手な思いながら、いつまでもその景観でいて欲しいと、やはり思ってしまうのです。

歩きながら、ふぅ、と一息を吐きます。経年劣化したコートと安物のネックウォーマーだけを頼りに、冬の町を闊歩していました。工事の音や人員のせいか、町には野良猫も少ない気がします。なんだか置いて行かれているようで、やはり寂しさは継続します。