ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

7月5日 それでも尚

朝は9時に起床。目覚めは悪くなし。

本日は小倉にてライブである。午前中は空くので、作業をしてから家を出る予定だ。

 

が、今ひとつ、眠気はある。ライブには全霊を注がねばならない、もう少し眠るとしよう。最近、睡眠量も少ないので、丁度いいだろう。断じて、作業をしたくないわけでは、ない。20分くらい眠れば、いい按配でしょう。

 

そして11時に、起床。おい。

何をやっているのか、もう。なんか3回くらい夢を見た気がする。悪い夢ではなかったが。ポケモン出てたし。フシギダネ

とりあえず起き抜け、バナナを飲み、水をかじる。その後はレーズンのパンをふたつ食べて、パソコンと向き合う。

 

1時過ぎ、パソコンを閉じて、準備を始める。

荷物を背負い、外へ出る。むわりと、夏の風が、する。

 

例のごとくギリギリになってしまった、早足で駅へ。電車から高速バス、小倉へ向かう。

 

FUSEに着く。

奇しくもノンフィクション号と同着となる。仲間たちと適当な挨拶を交わし、機材を搬入する。スタッフ、共演者の方々に挨拶をしながら、リハーサルを待つ。

馴染みの小倉の方々と、仲良し大阪のそれ媚びメンバー、お世話になってます本日主催の野津さんと、やいやい談笑をする。

 

リハーサルを終え、顔合わせも終え、スタンバイ。その間、コンビニに行ったり、また談笑したり、外を徘徊しながらMCを考えたりする。

 

 

開演。

我々は2番手。1番手のThe sagashite looseを見ながら、心持ちを整える。このバンドの、アーボーさんという人は、色々、凄い人である。ダイナミックに、人生を楽しんでいる。とても羨ましい。

 

して、我々の出番である。

SEが鳴って、入場。ありがたいことに、歓声で迎えられる。喋って、鳴らして、掻き鳴らす。新曲「サイレントゴールド」含めた7曲を、全霊にて発し、使い果たして、退場する。お疲れ様でした。

早々に声が枯れてしまったが、貫けるものは貫いたつもりである。しかし我々も、そろそろ、ゴリ押しが許される歳ではなくなってきている。きちんと、芸を、磨かねばならぬ。あと、体力。

 

3番手の富士山ボーイズを、片付けしながら、切れ切れ、見る。見た人はわかると思うが、知らない曲なのに歌えるのは、ずるい。会場がエライこと盛り上がっていた。

 

4番手のYellow Studs、存在は知ってはいたが、見るのは初めてである。凄まじかった。格好良すぎる。ソークールである。ソークール。ハードボイルドである。会場すげぇ盛り上がってるのに、本人らの様相があまり変わらず、もう、ソークールである。

 

そして、トリの大阪、それでも尚、未来に媚びる。が始まる。

それ媚びについては、特に、今日のそれ媚びについては、少し、思うところがある。

 

 

それ媚びのギター、オイケ君が、8月4日で卒業、もとい脱退となる。

友達特権で我々は大分前に聞いていたが、やはりショックである。福岡、小倉で見られるのは、今日のFUSEが最後だろう。

 

それ媚びは、Vo.がーこ君、Gt.オイケ君が我々2人と同い年であり、みな今年30になる年である。歳を重ねるごとに同い年のバンドが減っていく中、生き残って戦い続ける我々は、なんとなく、戦友のような間柄だな、と思っている。

そして奴等も、我々と同様、大学で出会って、結成という流れらしい。色々と、思う所が、ある。

 

この歳になると、バンドの脱退というものは、これまでよりももっともっと重くのしかかる。する方も、される方も、である。

若くなければバンドができない訳ではない。30だって、捉え方次第でまだ若いだろうさ。しかし、年齢は、確実に増えていく。年齢だけは一切の誤魔化しがなく、年々ひとつずつ刻まれていく。どういう捉え方をしようが、30という数字は全身に刻まれている。

 

故に、その苦しみは、よくわかっている。

故に、彼の脱退は、私にとって、とても、悲しいものだ。

 

その姿を目に焼き付けんと、ライブをしっかりと、見る。ほんと、格好いいんだよこいつら。軽口でも「あれはずるい」とか「あれは卑怯だよ」なんて言わない。真正面から、本当に、格好いいやつらなんだよ。この5人が、もう見られないのか、俺は。

 

アンコールまで含めて、終了。

オイケ君もがーこ君も、いつも以上に、よく、笑っていた気がする。

凄まじい量の情念が、渦巻いていた。ステージ上でも、客席でも、私の脳内でも。

少しだけ、泣いた。

 

終演。

物販を売り、フライヤーを配り、荷物を搬出し、打ち上げとなる。明日、みなさんは大阪、見放題への出演となっているので、簡単な、FUSEのバーカウンターでの乾杯である。野津さんなんかは、大阪にて12時間もしないうちに出勤らしい。健闘と健康を祈る。

がーこ君と、色々、話す。まだ新しいギターは見つかっていないらしい。辛いだろうが、頑張って欲しい。大丈夫。俺らもまだ、メンバーは見つかっていない。

それでも、続いていくだろう、我々も、彼らも。それでも、なお。

 

負けたくない。

俺らはそれ媚びに、数字やらなんやら、全体的に負けているけれども、そういう問題ではない。

負けたく、ないのだ。

 

その後は、ラーメンをすすり、解散となる。

 

 

ソウイチロウと2人、帰還する。

寝りゃあいいのに、また適当に雑談したり、音楽をかけて「これいいよね」って言い合ったりして、夜を、更かしていく。