ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

8月2日 純血と準決

朝は、10時に起床。

本日は福岡、アーリービリーバーズにてライブである。

 

昨日も、遅くまで色々と準備をしていた。しかしながら、本日はライブハウスの入り時間が遅いため、昼過ぎまではゆっくりとできる。7時間眠ることができた。

連日の、なんでか体調は芳しくないので、ゆるゆると、過ごす。体調もだが、精神もヘタっている。これは、いかんな。

 

新曲「ぼくらのディストーション」の練習を、する。歌詞が、昨日、というか今日の3時にできたので、まだ、まるで覚えていない。弾きながら、歌う。

できた歌詞が、まだ完璧とは思っていない。今日歌ってみて、気になった部分を変えていこう。完璧じゃない曲を披露する事に、まったく抵抗がない訳はない。しかし、どうしてもこの曲は、早く、お見せしたいのだ。

 

その後、動画を作ったり、画像を調整したりしていたが、やはり体調は良くはない。何が優先って、今日のライブが第一である。少し、眠る。

 

起きて、準備をする。気がついたらギリギリになるのは御家芸、準備をして、家を出る。入り時間に間に合わせるために、少し急ぐ。何をやっているんだ私は。

 

電車から、街へ着く。まずはキンコーズ、印刷屋に向かい、「ヒズミ会報」Tシャツの原材料を印刷する。慣れたもんで、手早く刷り終えたら、アーリーへ向かう。入って挨拶をして、一息。何とか入り時間には間に合っていた、あぶない、あぶない。

 

そのうち、仲間たちも到着する。機材を運び入れて、リハーサルもする。

本日の出番は突発、1番目である。1番目は、会場もお客さんも、空気が何もできていないので、流れを作るライブをせねばならない。

無論、我々も空気はできていないので、普段より入念に、準備を入れ込む。コンビニで買ってきたモンスターで、喉を鳴らす。

 

着替えて、靴を履き替え、メガネの根元を輪ゴムで固定する。ちょいとギターも鳴らして、歌も歌う。全員で流れを確認して、精神を整える。

 

開場。そして少しして、開演となる。コンディションは、やや悪め。やはり最近の夏が効いているか。しかしまぁ、やらねばならぬ。音が鳴ったら、勝負である。

SEが鳴って、入場をする。初めから、結構なお客さんが観ていてくれた。ありがたい。しっかりと、演奏をせねばならぬ。口上を述べて、全員で音を鳴らす。始まりである。

 

次、次と、曲を鳴らす。少し喋って、また鳴らす。私の歴史を以て、バンドで鳴らした作品が、拍手になって帰ってくる。それは私自身肯定されているようで、とても嬉しい。こんなに楽しい事は、そうそうない。

 

そう、本日は、元サポートドラマーかつ相談役のナカシーも観に来てくれていた。なんだか、めちゃくちゃ緊張した。

なんでかって、ナカシーとはそれなりの年月、バンドの精神性を共有してきているので、高評価も低評価もダイレクトに響くのである。その上、ライブを観てもらうのは久し振りなので、今の我々が合っているか間違っているか、腕前は向上しているのかどうかが、それなりに裸にされる事になる。緊張、するだろ、それは。

 

何とか新曲も終わり「徘徊デッドリビング」でシメる。とても心地よい。悪い感触は、ない。

ありがとう、ございました。

 

終わったら片付けをして、お客さんと談笑。知り合いが多くて、嬉しい、楽しい。

ナカシーにも、話を聞く。全然、悪くなかったらしい。すごく安心を、する。しかし「新曲が終わって徘徊に入った時の、皆の緊張の解け感が凄い」とのこと。確かに、そうだろうて。

新曲も、ご好評をいただく。この曲は、下半期ノンフィクションの運命を決める曲になると思っているので、好評でとても安心した。

「自分がいいと思っていても、他人はそうでもない」という事が、世の中にはめちゃくちゃある。その意味で、私はあまり自分の判断を信用しないようにしている。信頼して指針にはするが、信用はしない。

 

水を飲んで、汗を拭いて、一息。

それから対バンを、見る。どのバンドも、ジャギジャギである。良い。

 

年々、1番目でライブをして、疲れたまま後のライブを見る、というのがしんどくなってきている。歳やもしれぬぞ、くそ。

 

疲れた身体で、それでも見る。

対バンを見る事は、それなりに義務だと私は思っている。強制はしないけど。

あとこの義務が「それなり」である事は、結構、推しておきたい。いずれ言い訳をするために。

 

なんというか、今日のメンツはみんな、純血だなぁと、思う。純血のアーティスト。芸術家。

私はといえば、私もアーティストであるが、どちらかと言えばエンターテイナーでありたい。

純血の彼等は、真に己や表現と対峙している。中途半端な私には、その覚悟はない。勝手に肩身の狭さを感じる。

 

しかし、そっちの方が、好きなんだもの。私。エンターテイナー、エンターテイナーで、ありたい。

 

最後のMake the pancakeまで終わって、公演は終わる。各方々に挨拶をして、片付ける。片付け終えたら打ち上げが始まる。飲みながら、共演者で談笑をする。

 

そのうちに、清算になる。「MCが長くてテンポが良くない」と言われる。ぬぅ、MC、ついつい喋りすぎてしまうのだ。しかしテンポが良くないのは、良くない。少し削らねばならぬ。

 

清算も終わったら、また談笑。全バンド終わったら、数バンドは帰る。残った人間でラーメンを喰らいに行く。疲れた身体に、やまちゃんの豚骨が染みる。阿呆ほど、うまい。

 

アーリーに戻り、荷物を積んで、車を出す。

事務所まで送ってもらい、明後日の打ち合わせをして、別れる。

 

事務所に入ったら、もう私は、クタクタである。しかし、これから「ヒズミ会報」Tシャツを作らねばならない。作業行程に「水で洗って乾くのを待つ」というものが何度かあるので、一気にやる事はできない。それゆえ、こんなクタクタでも動かなければならんのだ。

 

百均で買ったフレームにホチキスでスクリーンを留め、デザインのシートを乗せて蛍光灯で感光させる。させたら、シャワーで流して、版面の完成である。

 

疲れたので、すみやかに、眠る。

しかし、純血、いいなぁ。格好いいなぁ。

憧れてしまうぜ。